9月23日 / 食彩探訪 / 秋刀魚と焼き茗荷の酢締め御膳

皿の上でまず目を引くのは、秋刀魚の銀皮だ。

塩を当て、米酢で短く締めた身には艶が残っている。箸で一切れ取って口へ運ぶと、最初に感じるのはすっきりとした酸味。しかし、その直後から秋刀魚らしい脂の甘みがじわりと広がってくる。

酢でさっぱりさせたというより、脂の輪郭をきれいに描き直したような味わいだ。

そこへ合わせるのが焼き茗荷。

表面に入った焦げ目から香ばしさが立ち、生の茗荷とは違う、ほのかな甘みも感じられる。それでも芯には独特の爽やかな香りが残っていて、脂の乗った秋刀魚との相性がいい。

秋刀魚、米酢、焼き茗荷。

ひと口の中で、脂、酸味、香ばしさが順番に現れる。大葉を少し添えると青い香りまで加わり、後味はいっそう軽やかになる。

前日の揚げ浸しが、温かなだしを衣に含ませて楽しむ一皿だったなら、今日は対照的だ。冷たい皿の上で銀皮を眺めながら、秋刀魚の濃い旨みをきりっと味わう。

白いご飯をひと口。豆腐の小鉢と澄まし汁を挟み、また秋刀魚へ。

秋刀魚といえば豪快な塩焼きもいい。しかし、脂が乗る季節だからこそ、こんな端正な食べ方もまた面白い。

秋の青魚を、少し涼やかに味わう御膳だった。

次回予告――
9月24日は「大豆とごぼうの生姜味噌煮御膳」。

秋刀魚と酢のきりっとした一皿から、明日は大豆とごぼうを味噌でじっくりまとめた温かな煮鉢へ。生姜の香りを利かせた、ほっと落ち着く味を訪ねます。

田嶋達郎

呪文

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