9月21日 / 食彩探訪 / 鰯と生姜の薄口炊き込みご飯御膳

蓋を開けた瞬間、まず立ち上がるのは生姜の清々しい香り。その後ろから、焼いた鰯の香ばしさが湯気に乗って追いかけてくる。

鰯はあらかじめ表面を焼いてあるから、銀皮のあたりに残る香ばしさがいい。身を粗くほぐしてご飯と一緒に頬張れば、脂の旨みが米の一粒一粒へじんわり染みている。

味付けは昆布だしと薄口醤油を軸にした穏やかなもの。鰯を濃い味で包み込むのではなく、魚そのものの旨みを米が受け止める仕立てだ。

そこへ細く切った生姜が時折しゃきっと顔を出す。鰯の脂が舌に広がったところを、その辛みと香りがすっと整えてくれる。青ねぎの瑞々しい香りも加わり、ひと口、もうひと口と箸が進む。

派手な秋のご馳走ではない。それでも、温かなご飯から立つ湯気と焼き魚の香りには、季節が少しずつ深まっていく頃ならではの心地よさがある。

青菜のおひたし、豆腐の澄まし汁、大根の浅漬けを間に挟めば、また炊き込みご飯へ戻りたくなる。最後のひと口まで鰯の余韻を楽しめる、静かで滋味深い御膳だった。

次回予告――
9月22日は「鶏手羽中としめじの揚げ浸し かぼす香御膳」。
香ばしく揚げた鶏手羽中にだしを含ませ、しめじの旨みとかぼすの香りを重ねます。今日の穏やかな炊き込みご飯から一転、明日は揚げたての香ばしさと、だしを吸った衣の味わいを追いかけます。

田嶋達郎

呪文

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