「ねえねえ、ちょっと聞いてよ!」

ぴょこんと頭の上の耳を揺らしながら、リコは俺の肩を激しく叩いた。ピンク色の髪が陽の光を浴びて、キラキラと楽しそうに弾んでいる。

「何だよ、そんなに急いで」

「聞いてってば! 今日、公園で特大の油揚げを見つけたの!」

「……それは、ただの道端に落ちてる油揚げじゃないか?」

「違うもん! これは運命! 今日はキツネ界の記念日かもしれないでしょ?」

リコは胸を張って、自信満々に言った。チェックのスカートをふわりと揺らし、大きな尻尾を誇らしげに左右へ振る。ふさふさとした大きな尻尾を、リズムよく左右に揺らしている。その瞳は金色に輝き、お腹が空いた時のような期待でいっぱいだ。

「記念日って、油揚げを拾う日なのか?」

「そうよ! だからお祝いしないと。ねぇ、この服のロゴ、何て書いてあるの? もしかして油揚げに関係する暗号?」

彼女は自分の胸元のTシャツを指さして、不思議そうに首を傾げる。いや、それただの流行りのロゴだと思うんだが。

「とにかく、油揚げ、買おうよ! ほら、この可愛いキツネちゃんを無視する気?」

「はいはい、わかったから」

俺が溜息をつくと、リコは満面の笑みで俺の腕に飛びついた。しっぽがブンブンと嬉しそうに揺れている。まあ、この騒がしくて愛らしい一日も、案外、悪くない日になりそうだ。

呪文

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