「見て見て、セバスチャン! これ、すごく赤くて綺麗よ」

露店が並ぶ賑やかな参道を、イヴは目を輝かせて駆け回っている。彼女の手には、艶やかな朱色の飴が握られていた。

「お嬢様、あまり歩き回ると着付けが崩れてしまいますよ。……それに、その飴は最後になさるべきでは?」

執事のセバスチャンが苦言を呈するが、イヴは全く気にする様子もなく、ぺろりと一口かじった。

「んっ、甘酸っぱくて美味しい! 疲れが吹き飛んじゃうわ」
「……そうですか。甘いものに目がないのは相変わらずですね」

セバスチャンが小さくため息をつくと、イヴは悪戯っぽく笑いながら、彼の腕をひょいと掴んだ。

「せっかく外に出たんだもの。楽しまなきゃ損よ! ほら、次はあの輪投げに行ってみましょう」
「輪投げ、ですか。私は見ておくだけにしますよ」
「だめ! 二人でやらないと意味がないわ。私が勝ったら、屋台の食べ物全部制覇するから覚悟してね!」

イヴはそう言って、再び混雑の中に飛び込んでいく。セバスチャンは苦笑しつつも、彼女がはぐれないようにとすぐに歩調を合わせた。夜風に揺れる朝顔模様の浴衣が、灯籠の光を受けて美しくたなびいている。

「さて、次はどんな勝負を挑まれることやら」

二人は喧騒の中へと溶け込み、夏の夜を存分に謳歌していた。

呪文

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