「ねえパパ、見て見て! 私の指、ちゃんとハートになってる?」

湖畔のデッキで、七海は真っ赤なワンピースを揺らしながら一生懸命に両手を合わせました。

背後では特大の菊型花火が「ドン!」と腹に響く音を立てて弾けています。

「ああ、完璧だ。でも七海、花火は後ろだぞ。こっち向いてたら見えないじゃないか」

カメラを構えた父親が苦笑いすると、七海はウインクを飛ばして胸を張りました。

「いいの! 今日はパパとママにこれを見せるのが目的なんだから。はい、特大のラブラブ光線、受信して!」

「おっと、強烈だな。母さん、今の撮れたか?」

隣でビデオを回していた母親が、お腹を抱えて笑い出しました。

「撮れたわよ。でも七海、そんなに力んだら明日の朝、指が筋肉痛になっちゃうわよ」

「ええっ、ハートの筋肉痛!? それはそれでカッコいいかも!」

七海は鼻を高くして、また新しい花火が上がるたびにポーズを決め直します。

「いつも美味しいご飯を作ってくれて、お菓子もこっそり多めにくれて、本当に……ええい、言葉にするのは照れくさいから、この指の穴から全部ビームで送るね!」

夜空を彩る七色の光が、少女の瞳にキラキラと反射します。

「届いたぞ。パパの心のバケツがいっぱいだ」

「私もよ。明日のおかず、一品増やしちゃおうかな」

「やったあ! じゃあ、唐揚げがいい!」

大きな花火の音に負けないくらい元気な声が、夜の湖畔に響き渡りました。

呪文

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