「えへへ、どうかな?」

公園の並木道で、瑠璃色の髪をふわりと揺らした少女が、愛らしい兎のマークが入ったベージュのキャップを深く被り直した。

「……似合っているよ。でも、なぜ急に?」

呆れ気味に尋ねる僕の問いには目もくれず、彼女は両手を頬に当て、上目遣いで僕を覗き込んでくる。その瞳は吸い込まれそうなほど深い紫で、木漏れ日がまるで彼女を祝福するために降り注いでいるかのようだ。

「ふふ、ちょっとした気分転換! このキャップ、とっておきなんだから。街中の視線を独り占めする準備は万端だよ!」

「いや、独り占めどころか、今すぐ逃げ出したい気分なんだけど」

僕は周囲の視線が集中し始めていることに気づき、思わず視線をそらす。彼女の存在感は、デニムジャケットの肩を少しずらして見せるあどけなさと相まって、どうにもこうにも目立ちすぎる。

「もー、つれないなあ。せっかくこうして、隣に歩いてあげてるのに」

「歩くというか、ほとんど立ちふさがってるよね」

彼女は頬をぷっと膨らませてから、いたずらっぽく笑った。

「じゃあ、この特別なお出かけに免じて、アイスをおごってくれたら許してあげる!」

「結局それかよ」

「当たり前でしょ。この格好で歩くのに、どれだけ気合を入れたと思ってるの?」

彼女は得意げに胸を張り、軽やかな足取りで先へ向かう。その後ろ姿を追いかけながら、僕はため息をつきつつも、なぜか足取りは軽くなっていた。まあ、たまにはこんな賑やかな休日も悪くないか。

呪文

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