1987年9月16日、モントリオール議定書が採択されました。
このモントリオール議定書はオゾン層を破壊する物質(ODS)の生産・消費を段階的に削減・廃止するという国際的な取り決めで、この議定書の採択日を記念して『オゾン層保護のための国際デー』として1994年の国連総会にて定められました。


日本で『フロン』と呼ばれてきたもの(フロンという名称は日本独自の呼び方です)の代表はCFC(クロロフルオロカーボン)です。
初期に冷媒として利用されていたアンモニアは極めて高い水溶性と強烈な毒性を有することから扱いが非常に難しく、その代替となる化学物質として1928年にフロン12が開発されました。
フロン類は化学的・熱的に極めて安定であるため冷媒やスプレーの噴射剤として重宝される『夢の化学物質』と呼ばれるようになります。


しかし、その安定性が実は最大の曲者でした。
大気中に放出されたフロン類は地表付近では分解されずに長い時間をかけて成層圏まで上昇し、そこで強い紫外線を受けると分解されて塩素原子などを放出します。
その塩素原子が触媒として機能してオゾン層を次々と破壊、その浸食スピードはたった1個の塩素原子で10万個のオゾン分子を連鎖的に破壊するという凄まじいものです。
これらの一連の研究が1974年に論文として発表され、そして1985年に南極オゾンホールが発見されるといよいよフロン類の扱いに対して緊急的な対策を求める機運が高まってきました。


こうして1987年9月16日、カナダのモントリオールにて
『オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書』
が採択されました。
先進国では1996年までに特定フロン、ハロン、四塩化炭素などを全廃(開発途上国は2015年まで)、その後の改正ではその他の代替フロンも先進国は2020年までに全廃(開発途上国は原則的に2030年まで)が求められています。
なおこれらのフロン類は温室効果ガスとしても強烈な作用を持っており、その規制によって地球温暖化への対策も同時に果たせるものであると期待されています。
モントリオール議定書は現在でも締約国会議が毎年開かれており、最新の科学的知見に基づいて改訂が加えられ続けているのも特徴です。


2006年のNASAの発表によると、破壊が進んでいたオゾン層は1997年をピークに回復傾向にあるとされ、2040年ごろには1980年代の水準までオゾン層が回復、2065年ごろには南極のオゾンホールが完全に塞がるという予測が立てられています。
もっとも地球温暖化によって大気温度が上昇すると未だ成層圏に残存しているフロン類が活性化してオゾン層破壊が再び進行するという報告もあり、まだまだ予断を許しません。
それでも、環境破壊への取り組みが明確な成果を伴った成功例として大きな一歩となりました。


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