幕末を語る上で欠かせない武器商人、トーマス・ブレーク・グラバー。
幕府派・討幕派を問わず武器・弾薬、艦船などを提供し、幕末の動乱の中で使用されたその7割近くがグラバーが調達したものとも言われています。
彼が長崎に来たのが1859年9月19日(安政6年8月23日)です。


彼が設立したグラバー商会が扱っていた商品は、武器のみならず多岐に及びます。
薩摩藩士の五代友厚・小松帯刀らの協力を得て船舶の修理施設を整備し、それは日本最初の洋式近代的ドックとなりました。
この施設は官営化の後に三菱の長崎造船所へと発展し、長崎を造船の町として発展させる礎となります。
さらにグラバーは長崎港に浮かぶ高島の石炭にも着目、開発された高島炭鉱は日本最古の大手資本による近代的超大規模炭鉱であり、優良炭の産出率8割を誇る国内屈指の優良炭鉱として1世紀以上にわたって日本のエネルギー経済を支え続けました。


そして、彼が深く関与した意外なアイテムが『ビール』。
経営危機に陥っていたスプリング・バレー・ブルワリーの再建参画を岩崎弥太郎に勧め、ジャパン・ブルワリー・カンパニー(JBC)として再スタート。
1888年5月にJBCから発売された最初のビールは『キリンビール』と命名されました。
翌年にラベルデザインを一新した際に新しいデザインを提案したのが他ならぬグラバーであり、現在でもラガービールやクラシックラガーのラベルデザインとして基本デザインは殆どそのまま受け継がれています。


明治維新後もグラバーは商売相手を明治政府に変える形でそのまま日本に残り続け、亀山社中との絡みで縁があった岩崎弥太郎に応じる形で三菱財閥の相談役としても活躍しました。
晩年は東京で過ごし、1908年(明治41年)に外国人としては破格の勲二等旭日重光章を授与。
1911年(明治44年)、大正の世への移り変わりを目前にして73年の生涯を閉じます。
グラバーと幕末の志士たちの交流の舞台となったグラバー邸は現在は『グラバー園』として整備されており、長崎を代表する観光名所になっています。

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