「おい、リン。そっちの暮らしはどうだい?」

足元の黒猫に呼びかけられ、私は通学用の傘を傾けてしゃがみ込んだ。

普通の人間なら驚くだろうが、私には彼らの言葉がはっきりと理解できる。なにしろ私は、ほんの少し前まで彼らと同じ野良猫だったのだから。

「悪くないよ。毎日カリカリじゃなくて、ジューシーなハンバーグが食べられるし」

「へえ、贅沢だな。でも、相変わらずおっちょこちょいだぞ」

黒猫が喉を鳴らして笑う。ハッとして気づけば、落ちてくる雨粒を前足――いや、手でキャッチしようとして、傘からはみ出た袖がすっかり濡れていた。染みついた猫時代の習性は恐ろしい。

「これ、あげるから内緒にしてね」

カバンからおやつの煮干しを取り出し、そっと差し出す。左右に佇む黒猫のコンビは、目を輝かせて身を乗り出してきた。

「さすが元ボス候補、話がわかるにゃ」

嬉しそうに分け合う二匹を見て、私はお尻のあたりがむず痒くなった。そこにはもう、自慢のふさふさな尻尾はないはずなのに。

呪文

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