2026/5/17
食彩探訪
「穴子と実山椒の柳川風玉子とじ御膳」

今日は少し、静かな昼食だった。

賑やかな香味野菜や強い酸味ではなく、
湯気の奥からゆっくり立ち上がる出汁の香りを楽しむような一膳。

黒い鍋に盛られた柳川風玉子とじは、
見るからにやさしい色をしていた。

ふわりと半熟に閉じられた玉子。
その下には、出汁を吸った牛蒡と、香ばしく炙られた穴子。

箸を入れた瞬間、
まず実山椒の青い香りが立ち上がる。

口へ運ぶと、
穴子の脂が驚くほどやわらかい。
その旨味を、牛蒡の土っぽい香りと玉子のまろやかさが静かに包み込んでいく。

派手ではない。
だが、一口ごとに「和食はやはり出汁だ」と思わされる味だった。

新生姜の炊き込みご飯も良かった。
爽やかな香りが、濃厚な玉子とじの余韻をすっと整えてくれる。

外は少し湿った空気。
こんな日の昼食には、
こういう“やさしく温かい料理”が妙に似合う。

今日は、
初夏の勢いというより、
季節が静かに深まっていく音を味わう御膳だった気がする。

さて、次回は少し空気を変えて——
「鱚と夏野菜の天茶漬け御膳」を予定している。
軽やかな天ぷらと冷たい薬味出汁で、初夏らしい涼感を楽しめる一膳になりそうだ。

田嶋達郎

呪文

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