「ねえ、杏子ちゃん。そのオレンジ色の巨大なきのこは何?」

陽射しが降り注ぐ並木道を歩いていると、友人からからかわれた。
私は手元のフリルたっぷりのパラソルを見上げる。

「これはね、私の大切なシールド。見えない毒矢から私を守ってくれるの」
「毒矢? 大げさだなあ。またそんな怪しい設定して」
「怪しくないもん! ほんの少し外を歩くだけで、私はすぐカサカサになっちゃうの。この盾の下なら、お肌も気分もぷるぷるに保てるんだから」

私は得意げにパラソルをくるりと回した。
透け感のあるレースから木漏れ日が落ちて、ドレスの緑色をキラキラと彩る。

「ほら、見て。この下だけ別の世界みたいでしょう?」

友人は呆れたように肩をすくめながらも、私のパラソルの下にひょいっと頭を滑り込ませた。

「……たしかに、ちょっと涼しいかも」

「でしょう? さあ、私の勇者パーティーに入りなさい。この盾なら、真夏の冒険もへっちゃらよ!」
「はいはい、じゃあシールド役の杏子ちゃん、次の角まで先導をお願いします」

私たちは笑いながら、オレンジ色の盾を広げて夏の中へと踏み出した。

呪文

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