2026/5/14
食彩探訪
「鰹の藁焼きと香味野菜の土佐定食」

皿が運ばれてきた瞬間、まず香りに目を奪われた。

いや、“鼻を掴まれた”と言った方が近いかもしれない。

藁で炙られた鰹の香ばしさが、ふわりと立ち上がる。
その奥から、茗荷や大葉、青葱の青い香りが重なり合い、一気に初夏の空気が広がった。

厚めに切られた鰹は、中心に鮮やかな赤を残している。
口へ運ぶと、表面の燻香と、ねっとりした赤身の旨味が一気に押し寄せる。
そこへ薬味の爽やかさが重なり、後味を驚くほど軽やかにしてくれる。

なるほど、“初鰹は薬味で食べる”という言葉の意味がよく分かる。

焼き茄子の冷やし土佐出汁も実に良かった。
焦げた皮の香りと、冷えた鰹出汁の旨味。
火を使った料理なのに、食後感はどこまでも涼しい。

新生姜としらすの炊き込みご飯は、
派手ではないが、じんわり記憶に残る味だった。
香りで食べさせる定食という意味では、今日の主役は鰹だけではなかったのかもしれない。

豪快さと繊細さ。
力強さと爽快感。

初夏という季節そのものを、そのまま一膳にしたような昼食だった。

さて、次回は少し趣向を変えて——
「稚鮎の天ぷらと山菜おろしうどん御膳」を予定している。
川の香りと冷たい出汁を楽しむ、涼やかな初夏の御膳になりそうだ。

田嶋達郎

呪文

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