2026/5/10
食彩探訪
アスパラと帆立の塩炒め定食

厨房から、フライパンを振る短い音が聞こえた。
昨日の甘辛い煮物の湯気とは違い、今日は火の入り方が軽やかだ。

皿の上には、鮮やかな緑のアスパラと、ふっくら焼き目をまとった帆立。
白と緑の取り合わせが、初夏の昼を明るくしてくれる。

アスパラは、噛んだ瞬間にしゃきっと音を立てるような歯ざわり。
青い香りがすっと抜けて、後から瑞々しい甘みが追いかけてくる。

帆立は表面だけ香ばしく、中はやわらかい。
塩味が強く出るのではなく、帆立そのものの甘みを引き出すように寄り添っていた。

余計な味を足しすぎないからこそ、素材の輪郭がよく見える。
ごはんに合わせても重くならず、箸の進み方がどこか涼しい。

小鉢の青菜、汁物のやさしい温度、浅漬けの歯ざわり。
どれも主菜の白と緑を邪魔せず、定食全体をすっきり整えている。

昨日の新じゃがが“ほっとする甘み”なら、
今日は“背筋の伸びるような青い香り”。
季節の歩幅が、また少し初夏へ寄った気がした。

次回は、炒め物の軽快さから少し静かな涼へ移して、
「そら豆ごはんと冷やし胡麻豆腐の初夏定食」をいただく予定です。

田嶋達郎

呪文

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