本日のランチ
八月十六日。
冷たい皿の中央には、柔らかな牛肉。その周りを赤紫の無花果が彩っている。
まずは牛肉をひと口。
薄切りの肉はしっとり柔らかく、噛むほどに穏やかな旨みが広がる。そこへ絡む胡麻酢は、胡麻の丸いコクを持ちながら、米酢の酸味で後口は軽い。
次に、牛肉と無花果を一緒に。
熟した果肉が柔らかくほどけ、細かな種がぷちぷちと弾ける。果実の瑞々しい甘みが牛肉の旨みと重なり、胡麻酢の酸味が両者をひとつの料理としてまとめている。
水菜のしゃきっとした歯触りと、茗荷の爽やかな香りもいい。
昨日は湯気の立つ鱸の酒蒸し。
今日は、ひんやりとした牛肉と旬の果実。
盛夏の食卓に、ほんの少し次の季節が近づいてきたような一膳だった。
次回の食彩探訪は、
「焼き穴子と新ごぼうの炊き込みご飯御膳」。
冷たい肉と果実の翌日は、湯気の立つ炊き込みご飯へ。香ばしく焼いた穴子と新ごぼうを合わせ、蓋を開けた瞬間に広がる香りを追いかけます。
田嶋達郎
呪文
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