「ねえ、ちょっと待って。今からダイイングメッセージを書くからさ、ペンを貸してよ」

放課後の静まり返った教室で、理沙は窓際に立つ怪しげな人物に向かって不満げに声を張り上げた。
黒板の前に佇む犯人は、いきなりの要求に面食らったように動きを止める。

「いや、何を言っているんだ。君は今から被害者になるんだぞ」
「だからこそ、フォントのバランスや文字の配置にこだわりたいわけ。適当に血糊でベタベタ書くのは美的センスに反するでしょ?」
「そういう問題じゃない気がするんだけど……」
「だいたい、これじゃあ『犯人はお前だ』って書いたあとに文字の端が切れそうなんだよね。ちょっとそこをどいて、スペースを広く使わせてよ」
「……」

呆然と立ち尽くす犯人を尻目に、理沙は真っ赤なペンを器用にクルクルと回しながら満足げにうなずいた。

呪文

入力なし

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