2026/5/8
食彩探訪
初鰹のたたきと新玉ねぎポン酢定食

厨房の奥で、火が一瞬だけ立つ気配がした。
鰹の表面を炙る香りは短く、けれど昼の空気をはっきり変える。

運ばれてきた皿には、赤身の美しい初鰹。
切り口の深い色に、炙られた皮目の香ばしさが細く寄り添っている。

その上にふわりとのるのは、新玉ねぎ。
辛さよりも水分と甘みが前に出て、鰹の力強さを軽やかに受け止めてくれる。

ポン酢をまとったひと切れを口に運ぶと、柑橘の酸味が先に立ち、
遅れて赤身の旨みと炙り香がゆっくり戻ってくる。

大葉、茗荷、青ねぎ、生姜。
昨日の香味の流れを受けながら、今日は魚の香ばしさが主役になっていた。

白いごはん、豆腐とわかめの味噌汁、小鉢の青菜。
どれも出しゃばらず、初鰹の勢いを昼の定食として落ち着かせている。

初夏は、涼しさだけではない。
香り、酸味、炙りの一瞬が、食欲にまっすぐ火を入れてくれる季節でもある。

次回は、鰹の力強さから少しやわらかな甘みに戻して、
「新じゃがと鶏そぼろの甘辛煮定食」をいただく予定です。

田嶋達郎

呪文

入力なし

yasai_pigmanさんの他の作品

yasai_pigmanさんの他の作品


関連AIフォト

新着AIフォト

すべてを見る