「なあ、これ。どう見ても私の親戚じゃないか?」

真っ白な髪を揺らして、アイリは手の中のぬいぐるみを不満げに突き出した。灰色の生地に縫い付けられた、特徴的な×印の目。どう見てもネズミの形をしている。

「親戚というか、遠い先祖の肖像画みたいなものかな」

私はティーカップを置き、のんびりと答えた。彼女はふんっと鼻を鳴らし、ぬいぐるみをぎゅっと抱きしめる。

「解せぬ。なぜ私がこんな、中身が綿のやつと見比べられなきゃいけないんだ」

「似合ってるからだよ。そのオーバーサイズのパーカーと、耳の感じとか」

「むっ。褒めても何も出ないぞ」

そう言いながらも、彼女は頬をほんのりと赤らめていた。長い尻尾がぴこぴこと動き、床を叩いている。どうやらまんざらでもないらしい。

「で、今日は何をするんだ? 美味しいチーズの隠し場所でも探すか?」

「それ、ただの食い意地が張ってるやつじゃないか。せっかくの休日だ、映画でも観よう。ただし、私の膝の上に乗ること」

彼女は堂々と胸を張って言い切った。

「それって、ただ私が甘やかされてるだけじゃ……」

「うるさい。これは我が一族の厳かな儀式だ。さあ、早く座れ」

抗う余地などなかった。私は大人しく隣に腰を下ろす。アイリは満足げに目を細めると、ぬいぐるみを抱えたまま、私の腕の中にふわりと収まった。

小さく温かい温度が伝わってくる。平和な午後だ。私たちはただ、互いの存在を感じながら、緩やかな時間を共有していた。

「まあ、悪くない」

彼女は小さく呟くと、私の腕の中で深呼吸をした。白くてふわふわな相棒との、穏やかな一日はまだ始まったばかりだ。

呪文

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