2026/5/9
食彩探訪
新じゃがと鶏そぼろの甘辛煮定食

厨房から、醤油とみりんの甘い湯気が流れてきた。
昨日の初鰹が見せた炙り香と柑橘の勢いから、今日は少し肩の力を抜く昼である。

主菜の鉢には、小粒の新じゃががころころと並ぶ。
薄い皮をまとったまま、煮汁を含んでつやよく光っていた。

箸を入れると、ほくっと割れる。
中は思ったよりみずみずしく、春から初夏へ移る頃のじゃがいもらしい軽さがある。

鶏そぼろは、甘辛い煮汁の中で細かくほどけ、
じゃがいもの表面に絡みながら、白いごはんを静かに誘ってくる。

濃すぎない。けれど物足りなくもない。
青ねぎと絹さやの緑が入ることで、煮物の温かさに初夏の明るさが添えられている。

味噌汁の湯気、小鉢の青菜、浅漬けの歯ざわり。
派手な一膳ではないが、昼の時間を落ち着かせる力がある。

昨日が食欲に火を入れる皿なら、今日は食欲をやさしく受け止める鉢。
こういう煮物に出会うと、季節は冷たいものだけで進むのではないと気づかされる。

次回は、新じゃがのほくほく感から少し方向を変えて、
初夏らしい香りと食感を楽しむ「アスパラと帆立の塩炒め定食」をいただく予定です。

田嶋達郎

呪文

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