本日のランチ
八月十五日。
運ばれてきた浅鉢から、ふわりと湯気が立つ。
まず届くのは、酒蒸しならではの穏やかな香りだ。
銀灰色の皮を残した鱸へ箸を入れると、白い身が層になってほろりとほどける。口当たりはふっくら柔らかく、昆布だしを利かせた薄いあんが、その淡い旨みを静かに支えている。
そこへ新蓮根。
シャキッとした歯切れが、柔らかな鱸の合間に実に心地よい。白身と白い蓮根、似た色合いながら、噛めばまるで違う表情を見せる。
そして最後に青柚子。
湯気とともに爽やかな香りが鼻へ抜け、酒とだしの余韻をすっと整える。
昨日は焦がし醤油の香ばしさを追いかけた。
今日は、蒸気、白身、蓮根、青柚子。
派手さはなくとも、一つひとつの香りと食感が静かに重なる、夏の温かな一膳だった。
次回の食彩探訪は、
「牛肉と無花果の胡麻酢冷しゃぶ御膳」。
ふっくらした白身魚の酒蒸しから一転、次は冷たい牛肉料理へ。柔らかな牛肉に熟した無花果を合わせ、胡麻酢のコクと酸味で味わう、夏らしい一皿を訪ねます。
田嶋達郎
呪文
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