ベンチでぼんやりと空を眺めていた俺の視界に、急に鮮やかな色が飛び込んできた。
視線の先には、白いワンピースを着た少女が、太陽を背にして立っている。彼女の手には、燃えるようなオレンジ色のバラの花束が握られていた。

「これ、あげる!」

唐突に突き出された花束に、俺は思わずのけぞった。

「え、俺に? なんでまた?」
「いや、なんとなく! さっきからベンチでひどく間の抜けた顔をしてたから、何かが足りないのかと思ってさ」

間の抜けた顔、という言葉に少しムッとしたが、彼女の屈託のない笑顔を見ると怒る気も失せた。

「足りないのは顔の締まりじゃないか? それにしても、いきなり知らない男に花を渡すのはどうかと思うぞ」
「細かいことは気にしない! ほら、このバラ、あなたを見たらこれが似合うって閃いたの。直感って大事でしょ?」

彼女は悪戯っぽく舌を出して笑う。少し強引だが、その迷いのない瞳に、不思議と毒気を抜かれてしまった。

「なるほど、これが俺に似合う色なのか。……まあ、嫌な気分じゃないな」
「でしょ? さあ、立ち上がって! せっかくだから、この良い天気を有効活用しようよ」

俺は差し出された手を取り、ゆっくりと腰を上げた。この不思議なやり取りは、思っていたよりもずっと楽しい展開になりそうだ。

呪文

入力なし

夜空さんの他の作品

夜空さんの他の作品


新着AIイラスト

すべてを見る