Capture 11
隣で待ってる

「……まだ終わらない?」

放課後の図書室。

参考書を閉じた俺は、
向かいの席を見る。

そこには、
ノートへ静かにペンを走らせる玲奈。

「もう少しよ。先に帰っても——」

「いや、待つ」

反射で答えてから、
少し気まずくなる。

すると玲奈は、
一瞬だけ目を丸くした。

「……優しいのね、佐伯くん」

「別に普通だろ」

「普通の人は、わざわざ残らないわ」

そう言って、
玲奈は少しだけ嬉しそうに笑った。

その空気に落ち着かなくなって、
俺は窓の外へ視線を逃がす。

夕焼けが綺麗だった。

すると。

「ゆーま発見——……って、あれ?」

聞き慣れた声。

夏帆だった。

さらに後ろから、
紗月も静かに入ってくる。

「なんで生徒会長と二人なの?」

「資料まとめ手伝ってただけだって」

「……でも、待ってたんだ」

紗月の視線が、
机に置かれた俺の鞄へ落ちる。

帰ってない証拠。

「いやこれはその……」

すると玲奈が、
静かに口を開いた。

「佐伯くんが、隣で待っていてくれたの」

空気が止まる。

「へぇー……?」

夏帆が笑顔になる。

怖い。

そして紗月が、
小さく俺の制服の袖を引いた。

「……悠真くん、次は私を待って」

その声だけ妙に近くて、
また心臓が変な音を立てた。

呪文

入力なし

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