桜の木の下で、柚子は分厚い本を広げた。

「……あれ、また同じ花びらが落ちてくる」

頭上に舞う桜が、ふわりと逆回転して枝へ戻る。柚子は呆れたように肩をすくめた。

「本を閉じると、必ずここに戻るのよね。お団子を食べる前に戻るのだけは、どうにかしてくれないかな」

彼女は苦笑しながら、もう一度ページをめくる。

「次は、ちゃんと食べてからにしよう。そうすれば、お腹いっぱい状態で何度でも繰り返せるし」

空腹には勝てない。柚子は意気揚々と一口頬張る。

「よし、完璧な計画。あ、また逆戻りだ」

ページを繰るたび、花吹雪が巻き戻る。

「まあ、いいか。最高の瞬間がずっと続くなんて、悪くないかも」

彼女はふふっと笑い、軽やかな足取りで読み始めた。

春の風が心地よく吹き抜ける。今度はちゃんと味わってから本を閉じよう。

「さあ、何回目のスタートかな!」

呪文

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