「お姉ちゃん、おかえりなさい!」

星が降るような夜、玄関を開けた瞬間に飛び込んできたのは、黄色い花束とユナのドヤ顔だった。

「うわっ、びっくりした。どうしたの、その大きな花束?」

サキは鞄を落としそうになりながら目を丸くする。

「えへへ、お姉ちゃんがいつもお仕事頑張ってるから、お庭のお花を全部むし……じゃなくて、集めてきたの!」

「全部むしったの!? お父さんが大事にしてたマリーゴールドも?」

「大丈夫、お父さんには『これは愛の徴収です』って言っておいたから」

ユナはふんぞり返って言い放つ。その背後では、庭で呆然と立ち尽くす父の影が見えたような気がした。

「徴収って……。でも、わざわざ起きて待っててくれたんだね」

「当たり前でしょ! お姉ちゃんがいなくなったら、私のプリンを半分こしてくれる人がいなくなっちゃうもん。だから、いつもそばにいてくれて……その、嬉しいなって思ってるだけだよ!」

顔を赤くして花束を突き出す妹に、サキは思わず吹き出した。

「ふふっ、動機が不純だけど受け取っておくね。このお花、お姉ちゃんの宝物にするよ」

「宝物にするなら、明日のプリンは私の分をちょっと多めにしてね!」

二人の笑い声が、静かな夜空へと溶けていった。

呪文

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