風が吹くたびに、頭上から淡い花弁が舞い散る。あずき色の瞳を細め、白い帽子をかぶった少女は、頬杖をついたままこちらを覗き込んできた。

「ねえ、聞いてる? 今日のランチ、メニュー表に『未知の味』って書いてあったのよ」

「それはちょっと、挑戦しすぎじゃないか?」

「でしょう? だから頼んでみたわ。結果、正体はカレー風味の焼きそばパンだった」

少女はケラケラと笑い、花びらの一枚を指先で弾く。この場所は、校庭の隅にある古びたベンチだ。いつもの風景が、彼女が座っているだけで少しだけ色が違って見える。

「次は何が来るかしらね。空から降ってくる、美味しい何かとか」

「それは流石に都合がよすぎるだろう」

「あら、そうかな? あ、見て」

少女が指差した先では、一匹の猫がひらひらと舞う花びらを必死に追いかけていた。尻尾をぴんと立てて、空中で回転する様子は、まるでダンスのようだった。

「ほら、ささやかなショーの始まりよ」

彼女は満足げにうなずき、再び私に視線を向けた。その真っ直ぐな緑色の瞳に、この穏やかな時間がいつまでも続けばいい、と本気で思ってしまった。

呪文

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