インディ500をやったなら当然やります、モナコグランプリ。


モナコグランプリはモナコ王室が観覧する御前試合という性格を持つ、大変栄誉のあるモータースポーツです。
高級リゾートというモナコ公国の土地柄もあって世界中のトップセレブが集い、高級ホテルや自宅or別荘のバルコニーや豪華なクルーザーの甲板からレース観戦を楽しむなど上流階級の祭典といった様相を呈します。
F1ドライバーは名士として優遇される措置があるためモナコに籍を置くドライバーも多く、期間中はドライバー達が『自宅通勤』するユニークな光景が見られるのも特徴です。


そんなモナコグランプリの記念すべき第50回目の開催は、モータースポーツ史に残る大激戦として知られています。
主役となったのは『暴れん坊将軍』ナイジェル・マンセルと『音速の貴公子』アイルトン・セナ。
3位以下が混戦となる中、上記二名は突出して文字通りの一騎打ちを演じることになりました。
しかしアクティブサスペンションなどのハイテク機構を搭載した次世代機を駆るマンセルは圧倒的戦闘力を有し、20秒以上のリードを保って首位を独走することになります。


しかし残り8周目、殆どの観客が目を離した一瞬の隙にマンセルとセナの順位が逆転します。
左リアタイヤの不調を感じたマンセルが緊急ピットインしたために起こった逆転劇でしたが、その瞬間をとらえていたのは日本のフジテレビのカメラだけでした。
新品タイヤに履き替えてコンディションを取り戻したマンセルはあっという間にセナに肉薄。
一方のセナはマシンとタイヤを限界寸前まで酷使し、抜かせません。

「抑えるセナ、抑えるセナ! 76周目、すごいバトルだ! これはモナコGP史上に残るバトルになるかもしれません!!」
「外から行く! もうマンセルが、どこからでも行ける! どのコーナーでも行く!!」
「どんなにしても抜けない。ここはモナコ、モンテカルロ。絶対に抜けないっ!」
「マンセルどうか、届かないーっ!!」

当初このレースを実況する予定だった古舘伊知郎氏は椎間板ヘルニアの発症で断念せざるを得ず、上記の実況は代わりに行くことになった三宅アナによるものです。
この時のレースを実況できなかったことを古館氏は大変悔しがったそうです。


その差は僅か0.215秒。
チェッカーフラッグを受けたセナのマシンはその直後にエンジンから白煙を上げていました。
ゴールのその瞬間まで猛追を続けたマンセルも疲労困憊を隠しきれず、表彰式の後はうずくまってしまいます。
両者ともに、あらゆる意味でマシンとドライバーの限界を突き詰めた勝負だったことが伺えます。
そしてこれはウイリアムズ・ルノーに先を越され続けたマクラーレン・ホンダにとっても1992年シーズンの初優勝ともなりました。

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