2026/5/12
食彩探訪
「鯵の香味南蛮漬けと新じゃがの炊き合わせ定食」

昼前の少し湿った風が、季節の変わり目を知らせてくれる。
そんな日の食卓には、香りと酸味が心地よく似合う。

皿いっぱいに広がる香味野菜の下には、こんがり揚がった鯵。
南蛮酢をまとった玉ねぎと茗荷の香りが立ち上がり、思わず箸が早くなる。
酸味は角がなく、揚げた魚の旨味をやさしく引き立てていた。

噛むたびに感じる、鯵の香ばしさ。
そのあとを追いかけるように、甘酸っぱい出汁の余韻が広がる。
初夏の定食らしい、“軽やかな満足感”がそこにあった。

対照的に、新じゃがの炊き合わせは穏やかな味わい。
出汁をたっぷり吸った小ぶりの新じゃがは、箸を入れるだけでほろりと崩れる。
皮の香りと、やさしい甘みが実に心地いい。

焼き茄子の生姜浸しや赤出汁も含め、
今日は「香り」が主役の昼食だったように思う。

爽やかさと、じんわりした旨味。
派手ではないのに、食後に妙な満足感が残る。
こういう定食に出会うと、和食の奥深さを改めて感じる。

さて、次回は少し趣向を変えて——
「桜海老と青葱のかき揚げ蕎麦御膳」を予定している。
香ばしい揚げの香りと、初夏らしい薬味の爽快感を楽しめる一膳になりそうだ。

田嶋達郎

呪文

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