2026年7月24日 / 食彩探訪 / 鶏もも肉と白茄子の焦がし醤油焼き御膳

皿が運ばれてきた瞬間、まず届いたのは、鍋肌で焦げた醤油の香りでした。

昨日の〆鯵と香味寿司が、冷たい酢と銀皮の張りを味わう一膳だったなら、今日は焼き台の熱と鶏の脂を正面から受け止める、力強い御膳です。

鶏もも肉は皮目をきつね色に焼き上げ、ところどころに小さな焦げ目をまとっています。箸で切れば、皮は香ばしく、内側の身からはやわらかな肉汁がにじみました。

醤油は甘いたれとして厚く絡むのではなく、鍋肌で一瞬焦がされた香りだけを、鶏の表面へ薄く移しています。

そのため、最初に感じるのは醤油の濃さではありません。鶏皮の焼けた香りと、脂の甘みが先に立ち、後から醤油の香ばしさが追いかけてきます。

そして、この皿でもう一つの主役となるのが、淡い緑白色の白茄子です。

厚く切られた白茄子へ箸を入れると、焼き目のついた表面を越えたところで、果肉がとろりと崩れます。

鶏から出た脂を吸い込みながらも、油だけが前へ出ることはなく、茄子そのものの穏やかな甘みが残っていました。

噛まずともほどける柔らかさの中に、鶏の旨みと焦がし醤油の香りが静かに染みています。

中央に添えられた針生姜を少し崩すと、細い辛みが鶏の脂と茄子の余韻を軽く切り、青ねぎの香りが皿全体を明るく整えます。

傍らのししとうは、ほろ苦さと青い香りを添え、白和えのまろやかな味わいと澄まし汁の清らかな出汁が、主皿の香ばしさを穏やかに受け止めます。

鶏の皮目はぱりりと、白茄子はとろりと。同じ皿の中で対照的な食感を見せながら、鶏脂と焦がし醤油によって味が一つにつながっています。

白いご飯へ箸が伸びる、確かな定食の満足感。それでいて、白茄子と生姜が盛夏らしい軽さを残す、香り豊かな焼き物御膳でした。

次回予告:次回は「鱧と蓴菜の冷やし玉子豆腐御膳」。焦がし醤油と焼き台の熱から一転、淡黄色の玉子豆腐、湯引きした鱧、冷たい出汁の上を滑る蓴菜の涼やかな口当たりを訪ねます。

田嶋達郎

呪文

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