青いドレスを着た少女は、お気に入りの茶色いクマをぎゅっと抱きしめながら、目の前に立つ彼氏を見上げた。

「ねえ、今日のデートには、この子も一緒に行ってもいいでしょう?」
「え、クマを? デートに連れて行くの?」

彼氏は驚きで目を丸くし、思わず一歩後ろへ下がった。
少女はふっと頬を膨らませ、クマの耳を軽く揺らしてみせる。

「だって、この子が『お出かけしたいな、美味しいケーキを食べたいな』って言っているんだもん。連れて行かないとかわいそうだよ」
「いや、喋るわけないだろ……ていうか、本当に喋っているように見えるから怖いって」
「ほら、ボクも一緒に行くんだぞって、この子が鼻をピクピクさせてるよ」
「絶対動いてないから! 動いてないって!」

彼の必死なツッコミをよそに、少女はクマをさらにしっかりと抱きしめる。

「ダメかな? 三人一緒の方が楽しいと思うんだけどな」
「三人って……いや、周囲の目が恥ずかしいんだけど!」
「大丈夫、この子はすっごくお利口さんだから」

困り果てる彼の腕を優しく引っ張りながら、少女はとびきりの笑顔で小首をかしげた。

「ね、お願い。一緒に連れて行ってあげて?」
「……はあ、仕方ないなぁ。その代わり、カフェではテーブルの端っこに座らせるからな」
「やったあ! ありがとう、大好き!」

少女は大喜びでクマを掲げ、クマの代わりに「やったね」と嬉しそうにつぶやいたのだった。

呪文

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