Capture 12:「見つめる時間」

昼休み。

教室の窓際。

「……佐伯くん?」

不意に呼ばれて、
顔を上げる。

そこには、
紗月が立っていた。

「隣、いい?」

「あ、うん」

静かに座る。

それだけなのに、
やけに距離が近い。

「……」

「……」

会話がない。

でも、
嫌じゃない。

むしろ。

落ち着かない。

「さっきの続きだけど」

ぽつりと紗月が言う。

「“次は私を待って”ってやつか?」

「……うん」

小さく頷いてから、

「本気だから」

そう続けた。

心臓が、
変な跳ね方をする。

「いや、別に誰でも——」

言いかけて。

止まる。

紗月が、
まっすぐこっちを見ていた。

逸らせないくらい、
静かな圧で。

「……誰でも、じゃないよね?」

「……っ」

言葉に詰まる。

その一瞬の沈黙を、
紗月は見逃さなかった。

「ね、悠真くん」

距離が、
ほんの少しだけ近づく。

「私のこと、ちゃんと見て」

――ドクン。

音が、
やけに大きく響く。

「夏帆お姉ちゃんばっかりじゃなくて」

そう言って、
少しだけ笑う。

でもその目は、
笑っていなかった。

「……私も、いるから」

その一言で。

何かが、
確実に変わった気がした。

呪文

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