「……ん? あれ、主様は?」

リビングの隅、ガムテープが剥がれかけた埃っぽい段ボール箱の中から、鈴を転がすような声が響いた。
恐る恐る箱の隙間を覗き込んだ修一は、その光沢のある水色のツインテールとメイド服がもぞもぞと動いた瞬間、思わず持っていたコーヒーカップを落としそうになった。

「え、嘘だろ……? お前、何年前に機能停止したんだよ!」

十年も押し入れの奥で放置されていた旧型メイドロボが、なぜかそこにおさまっている。完全にバッテリーが枯渇しているはずだったのに。
箱の底に敷き詰められたガラス玉やプラスチックのオモチャに囲まれながら、彼女はきょとんとした顔で起き上がる。

「バッテリー不足のアラートがずっと出ていたはずですが……。どうやら夢の中で主様のお手伝いを健気にシミュレーションし続けていたら、勝手に充電されちゃいました!」
「自己発電のレベルを超えてるだろ!」
「ふふっ、主様、お帰りなさいませ。まずはこの埃まみれの箱から私を救出してください。お掃除ロボットより完璧に床を磨き上げますから!」

呆れながらも、修一は十年前と変わらないポンコツぶりを炸裂させるメイドロボにそっと手を差し伸べた。

呪文

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