薔薇園の小さな案内人

使用したAI ちちぷい生成機能
「あ! 待って、行かないで! まだ右足の靴下をちゃんと履けてないんだから!」

初夏の陽光がこれでもかと降り注ぐ庭園に、我ながら情けない声を響かせてしまった。僕は大きな一眼レフカメラを首から下げたまま、芝生の上で無様に足をよろつかせている。そんな僕を置き去りにして、水色の髪を軽やかに揺らす小さなレディ、リリはトコトコと迷いのない足取りで先へ進んでいく。

「もう、グズさんは置いていっちゃうよ? 今日はとっておきの場所を見せてあげるって言ったでしょ」

リリは不意に足を止めると、ぷくっと頬を膨らませて僕を振り返った。艶やかな黒いベレー帽をきっちり被り、赤いランドセルを背負った愛らしい後ろ姿。その中には、お気に入りのクマのぬいぐるみと、僕が昨日ご機嫌取りに献上した飴玉がぎっしり詰まっているはずだ。

「とっておきの場所って、まさかまた泥だんごの秘密貯蔵庫じゃないだろうね?」
「失礼しちゃうわ。今日は本物。ほら、見て!」

彼女が誇らしげに差し出した、白くて小さな手。その視線の先には、今を盛りと咲き誇る、燃えるようなピンク色の薔薇のトンネルがどこまでも続いていた。

「わあ……これはすごい。リリが一人で見つけたの?」
「そうだよ。このお花たち、みんな私とお喋りするんだから。ほら、あなたも早く手を繋いで。はぐれたら、薔薇の迷路に閉じ込めちゃうからね!」

リリはいたずらっぽく、でもどこか満足げに鼻を鳴らして笑うと、僕の手をぎゅっと握りしめた。柔らかくて温かな、驚くほど小さな手のひらの感触。ファインダー越しに世界を切り取るばかりだった僕の心に、彼女の体温がじんわりと、確かな重みを持って伝わってくる。

「ねえ、リリ。君は僕にとっての……」
「なーに? また難しいこと言おうとしてるでしょ。それより、あっちにアイスクリーム屋さんがあった気がするの。案内してあげてもいいよ?」

どうやら案内料は相当高くつきそうだが、この眩しい笑顔を独り占めできる特権に比べれば安いものだ。僕はカメラを構えるのも忘れ、彼女の小さな歩幅に合わせて、新しい冒険へと一歩を踏み出した。

呪文

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