「よし、これで完璧!」

野原の真ん中で、結衣は自慢げに鼻を鳴らした。手には溢れんばかりの花束が握られている。

「見てパパ!この青い花、ママが怒った時の目にそっくりでしょ?」

後ろで見守る父親が、困ったように笑う。
「……それは褒め言葉として受け取っていいのかな?」

「もちろん!キラキラしてて、とっても強そうなところ!あ、こっちの黄色いのは、ママがパンケーキを盛大に焦がした時の色!」

「結衣、それは絶対に内緒にしておこうね。パパと結衣の命に関わるから」

「えー、正直が一番なのに。あ、でもこの赤いのは、ママが笑った時のお顔の色だよ!」

結衣は草の上に膝をつき、さらに良さそうな花を吟味する。自慢のフリフリのドレスが草の汁で緑色に染まっていくが、本人は全くお構いなしだ。

「ママは毎日お料理を頑張ってるし、パパが脱ぎっぱなしにした靴下も文句言いながら片付けてるでしょ?だから今日は、私がママを世界一のお姫様にしてあげるの!」

「……パパも靴下については猛省するよ。よし、もっと一番綺麗なやつを探そうか」

「当たり前じゃん!私のいっぱいの『好き』を、このお花と一緒に届けるんだから!」

結衣は元気よく立ち上がると、花束をぎゅっと抱きしめて家へと走り出した。

呪文

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