Capture 10
名前で呼ばれた

「佐伯くん」

放課後の生徒会室。

静かな空間に、
綺麗な声が響いた。

顔を上げると、
そこには雨宮玲奈。

生徒会長。
学校でも有名な優等生。

「悪い、プリント運ぶの手伝うだけのはずだったんだけど」

「十分助かってるわ」

そう言って、
玲奈は小さく微笑んだ。

……この人、
笑うと破壊力高いんだよな。

資料を棚へ戻そうとした瞬間、
高い位置のファイルに手が届かない。

「あ、俺やる」

自然に後ろへ回り、
棚へ手を伸ばす。

すると。

「……近い」

「え?」

振り向くと、
玲奈がすぐ目の前にいた。

距離、
完全にミスった。

「わ、悪い!」

慌てて離れようとした瞬間、
袖を軽く掴まれる。

「……別に、嫌じゃないから」

思考が止まる。

そのタイミングで、
生徒会室の扉が開いた。

「ゆーま迎えに来——……え」

夏帆だった。

さらに後ろから、
静かに紗月も現れる。

玲奈。
掴まれた袖。
近い距離。

数秒の沈黙。

「……悠真くん?」

「佐伯くん?」

「ゆーま?」

なんで全員、
そんな静かな声なんだ。

怖いからやめてくれ。

呪文

入力なし

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