放課後の旧校舎。夕日が差し込む廊下の窓際で、凪沙は両手を胸の前でギュッと握りしめ、警戒度マックスのジト目で俺を睨みつけていた。

「……で? こんな埃っぽい所に呼び出して、何の用?」
「いや、その……お前に、すごく大事な話があって」

緊張で声が裏返る。今日こそ、ずっと好きだった凪沙に想いを伝えるんだ。誰にも邪魔されないように、あえて人が来ないこの場所を指定したのに。俺が意を決して一歩踏み出すと、凪沙はビクッと肩を揺らし、窓枠に背中を押し付けた。

「ちょ、ちょっと待ちなさいよ! 近寄らないで!」
「え?」
「こんな人けのない場所に女子を呼び出して……さては私にエッチなことでもしようって魂胆ね、このむっつりエロ大魔神!」
「はぁ!?」

予想外すぎる斜め上の罵倒に、俺の純情な決意は木っ端微塵に吹き飛んだ。

「ち、ちげーよ! 誰がエロ大魔神だ! 俺はただ、お前のことが好きだから普通に告白しようとしただけで……あっ」

ぴたりと、時が止まった。
夕日の赤なのか、それとも別の理由か。凪沙の顔が、みるみるうちに沸騰したように真っ赤に染まっていく。

「……え? こ、告白……?」
「あ、いや、今のなし! 勢いで出ただけだから忘れてくれ!」
「ば、ばか! 一度言ったこと取り消すなんて男らしくないわよ!」

凪沙は顔を逸らしながらも、チラチラと上目遣いでこちらを見ている。

「……で、本気なの?」

エロ大魔神呼ばわりからの、この急展開。すっかりペースを握られた俺の心臓は、すでに爆発寸前だった。

呪文

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