2026/5/11
食彩探訪
「そら豆ごはんと冷やし胡麻豆腐の初夏定食」

昼の暖かさに対して、朝晩にはまだ少しだけ春の名残が残る。
そんな今の季節にちょうど似合う定食だった。

炊き立てのごはんに混ざる、鮮やかなそら豆。
箸を入れた瞬間に立ち上がる青い香りは、春を越えて初夏へ向かう空気そのもののようだ。
噛むほどに豆の甘みが広がり、昆布出汁を吸った米のやさしい旨味が後を追いかけてくる。

対照的に、冷やし胡麻豆腐はひんやりと静かな存在感。
ねっとりとした口当たりの奥から、濃厚な胡麻の香りがゆっくり広がる。
添えられたわさびの爽やかな刺激が、全体をきれいに引き締めていた。

焼き目の香ばしい鰆、西京味噌の甘み。
冬瓜の澄まし汁の透明感。
どれも主張しすぎず、それぞれが初夏の景色の一部として並んでいる。

派手ではない。
けれど、こういう昼食ほど不思議と記憶に残る。

湯気と冷たさ。
青い香りと出汁の余韻。
静かな季節の移ろいを味わう一膳だった。

さて、次回は少し趣向を変えて——
「鯵の香味南蛮漬けと新じゃがの炊き合わせ定食」を予定している。
初夏らしい酸味と、揚げの香ばしさを楽しめる献立になりそうだ。

田嶋達郎

呪文

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