第7話「マグロが好き!」

使用したAI ChatGPT
🐟鮮魚売場から始まる逃亡生活🐟

第7話「マグロが好き!」


図書館での出来事から数日。

マグロちゃんは少しずつ笑顔を取り戻し始めていた。

とはいえ、一人で外へ出ることにはまだ不安が残っている。

そんなある日の午後。

みのりは買い物メモを手に笑顔で言った。

「マグロちゃん、一緒に商店街までおつかいに行かない?」

「……うん。」

少しだけ緊張しながらも、マグロちゃんはうなずいた。

二人は仲良く商店街へ向かう。

昼下がりの商店街は活気に満ちていた。

八百屋には色とりどりの野菜が並び、パン屋からは焼きたての香りが漂う。

豆腐屋のおばあさんが、

「こんにちは、みのりちゃん。」

と手を振る。

みのりも笑顔で手を振り返す。

その温かな雰囲気に、マグロちゃんの表情も少しずつ和らいでいく。

「ここ……いいところだね。」

「でしょ? 私、この商店街が大好きなんだ。」

そんな会話をしていると、小さな男の子がこちらを見つめていた。

五歳くらいだろうか。

マグロの帽子をかぶり、マグロのぬいぐるみを抱えている。

男の子は目を丸くした。

「あっ!」

次の瞬間、満面の笑みで駆け寄ってくる。

「マグロのおねえちゃんだー!!」

突然の出来事にマグロちゃんは固まる。

(……見つかった。)

(やっぱり……。)

胸がドキリと鳴る。

だが、男の子は満面の笑みのまま言った。

「ぼくね! マグロが世界でいちばん好き!」

「すっごく速く泳ぐんだよ!」

「お寿司も大好きだけど、生きてるマグロもかっこいいんだ!」

その瞳には、純粋な憧れしか映っていなかった。

マグロちゃんは戸惑う。

「……好き?」

「うん!」

「ぼく、大きくなったらマグロ博士になる!」

「だから毎日図鑑を読んでるんだ!」

男の子は大事そうに抱えていたスケッチブックを開く。

そこには、何匹もの元気いっぱいなマグロの絵が描かれていた。

「これ、ぼくが描いたんだ!」

「これがお気に入り!」

一番大きなマグロの絵を指さして、男の子は胸を張る。

「かっこいいでしょ!」

マグロちゃんは思わず笑みをこぼした。

「……うん。」

「すごく上手。」

男の子は照れくさそうに笑い、一枚の絵をそっと破って差し出した。

「これ、おねえちゃんにあげる!」

「えっ……私に?」

「うん!」

「マグロのおねえちゃんだから!」

マグロちゃんはその絵を両手で受け取る。

紙いっぱいに描かれた元気なマグロ。

その下には、大きな文字でこう書かれていた。

「マグロはヒーロー!」

思わず胸が熱くなる。

スーパーちちぷいでは、「商品」としてしか見られなかった自分。

逃げることしかできなかった自分。

でも目の前の男の子は違った。

自分を見て、目を輝かせてくれている。

「……ありがとう。」

その言葉は自然と口からこぼれていた。

男の子は大きく手を振る。

「またね! マグロのおねえちゃん!」

「うん。またね。」

男の子が去ったあとも、マグロちゃんはしばらく絵を見つめていた。

みのりが優しく微笑む。

「よかったね。」

「……うん。」

「今日、初めて思った。」

「マグロでも……誰かを笑顔にできるんだね。」

その言葉に、みのりは静かにうなずいた。

「そうだよ。」

「マグロちゃんは、マグロちゃんだから。」

夕暮れの商店街。

二人は買い物袋を提げながら家路につく。

マグロちゃんの手には、大切そうに折れないよう抱えられた一枚の絵。

その足取りは、少しだけ昨日より軽くなっていた。

つづく

呪文

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