6/6 / 食彩探訪 / 鯖の梅味噌煮と新生姜ご飯御膳

六月六日目の昼は、空が少し低く見えた。
雨はまだ落ちていないが、街の空気には湿度があり、店の暖簾をくぐると、その重さが一枚外れるような感覚がある。

厨房から届いてきたのは、味噌と生姜の香りだった。
甘辛い煮汁だけではない。そこに梅の酸味が細く混じり、湯気の輪郭を少し明るくしている。

今日の御膳は、鯖の梅味噌煮と新生姜ご飯御膳。
主皿には、艶のある煮汁をまとった鯖。上には赤い梅、白髪ねぎ、針生姜。脇には青菜が添えられ、白い器の上で茶色い煮物が重く沈まないよう、色の逃げ道が作られている。

鯖に箸を入れると、身はふっくらとほどけた。
脂のある青魚だが、梅味噌の酸味がその輪郭を軽くしてくれる。味噌のコクはしっかりあるのに、後味が鈍く残らない。梅の赤が見えるだけで、味の印象まで少し涼しくなるのが面白い。

針生姜を少しのせると、香りがさらに立つ。
味噌の丸さ、鯖の脂、梅の酸味。その間を、生姜がすっと通してくれる。白髪ねぎの歯ざわりもよく、煮魚のやわらかさに小さな緊張を足していた。

合わせるご飯は、新生姜ご飯。
白飯に細く刻まれた新生姜が混じり、噛むたびに清々しい香りが出る。鯖の梅味噌を受け止めながら、口の中を重くしない。主皿とご飯が、同じ生姜を別の温度で響かせているようだった。

小松菜のおひたしは、青い余白の役目をしている。
豆腐とわかめの澄まし汁は、味噌煮のあとに透明な出汁の静けさを戻してくれる。胡瓜の浅漬けも、最後に歯ざわりと涼しさを残し、御膳全体をきれいに締めていた。

昨日の豆腐ハンバーグとみぞれあんが、やわらかな満足感の昼だったなら、今日はもう少し芯のある定食だ。
ただし、重さで押す一膳ではない。梅、生姜、白髪ねぎ、青菜がそれぞれ働き、鯖の脂と味噌のコクを、雨の日にも食べたくなる形に整えている。

食後に残ったのは、味噌の濃さよりも、新生姜の香りだった。
湿度のある六月の昼に、青魚をきちんと食べた満足感があり、それでいて午後へ持ち越す重さは少ない。梅雨時の定食として、よく考えられた一膳だった。

次回は「豚ヒレの青梅しそカツと新キャベツ御膳」。
鯖の梅味噌煮と新生姜ご飯の香りある青魚定食から、青梅としそを効かせた軽いカツ御膳へ。六月初週の締めにふさわしい、酸味と満足感のある一皿を楽しみたい。

田嶋達郎

呪文

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