5/26 / 食彩探訪 / 鱚と夏野菜の天茶漬け御膳

初夏の昼に、熱い出汁の香りが立つ一膳というのは、思っている以上に気持ちを整えてくれる。
昨日の冷たい麺で涼を取った体に、今日は揚げたての香ばしさと、湯気に乗る出汁の香りがやってきた。

今日の食彩探訪は「鱚と夏野菜の天茶漬け御膳」。
主碗には、白いご飯の上に鱚の天ぷら、ししとう、かぼちゃ、オクラが重なり、刻み海苔、大葉、茗荷、わさびが添えられている。
器の中に、白身魚の淡さ、夏野菜の緑とかぼちゃの黄色、薬味の赤紫がほどよく散っていて、見た目からすでに初夏らしい。

まず惹かれるのは、鱚の天ぷらの軽さだ。
衣は厚く重たいものではなく、出汁を受け止めるための薄い膜のように揚がっている。
箸を入れると、さくりとした名残を少し残しながら、熱い出汁を含んでほろりとほどける。

鱚の身は上品で、強く主張しすぎない。
だからこそ、出汁の香り、刻み海苔の磯の気配、茗荷の涼しい香りがよく合う。
白身魚の淡い旨みが、揚げ物でありながら重くならず、茶漬けとしてさらりと流れていく。

夏野菜もいい働きをしている。
ししとうは青い苦みを少し、オクラはやわらかな粘りを、かぼちゃはほくっとした甘みを添える。
同じ出汁をまとっていても、それぞれ食感と香りが違うので、碗の中に小さな変化が続いていく。

小鉢の冷やし豆腐や、きゅうりと茗荷の酢の物を間に挟むと、熱い出汁の余韻がすっと落ち着く。
揚げ物の満足感がありながら、最後は薬味と出汁で軽く終わる。
この後味のよさが、5月末の昼にはちょうどいい。

昨日は冷やしうどんの涼しさ。
今日は天ぷらと出汁の香り。
同じ初夏でも、冷たさで涼む日と、熱い出汁で体を整える日がある。そう思わせてくれる御膳だった。

次回は「初鰹の香味たたきと新生姜ご飯御膳」。
揚げたての白身魚と出汁の一碗から、今度は赤身魚の力強さと香味野菜の爽やかさへ。新生姜の香りをまとったご飯とともに、初夏の勢いを味わいたい。

田嶋達郎

呪文

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