これってもしかして…デート? #1時間悩んだ絶妙なコーデ
一歩前を歩く先輩の背中を追いかけながら、わたしの心臓はさっきからドラムの連打みたいに激しい音を立てている。
わたしの名前はココア。運動部のマネージャーをやっている、普通の女子高生だ。
そして、少し前を「こっちだよ」と優しくリードしながら歩いてくれているのが、部活の頼れる憧れの先輩・ハルト先輩。
今日は週末の大会に向けた備品の買い出しなのだが、運命のイタズラか、他の部員たちが急用で来られなくなり、まさかの先輩と二人きりというシチュエーションになってしまった。
二人で駅前の改札を出た瞬間から、わたしの脳内は完全にキャパオーバーだよぉ。
(二人きりで街を歩く……これって、客観的に見たら完全に『デート』ってやつなのでは……!?)
いやいや、落ち着いてわたし! これはあくまで部活の延長。真面目な買い出し。
でも、もしも買い出しが予定より早く終わったら? 先輩が『ちょっと喉乾いたし、あそこのカフェで休んでいこうか』なんて言ってくれたりして……。そしたら、一つのパフェを二人で突っついたり、先輩が『ココア、口元にクリームついてるぞ』って顔を近づけてきたり……きゃあああ! どうしよう!!
そんなありもしない妄想が頭の中で大爆発してしまい、歩きながら顔が真っ赤になっていくのが自分でもよく分かる。
さらに、今日のわたしを一番悩ませているのが、この『私服』だ。
急に二人きりって決まったから、家を出る前にクローゼットの前で1時間も頭を抱えてしまった。
あからさまに気合いの入ったワンピースを着ていったら『こいつ買い出しなのにデート気分かよ』って引かれそうだし、かといって適当なジャージで行くなんて憧れの先輩の前では絶対に嫌だ。
悩みに悩んだ結果、大きめの白Tシャツにミニスカートという、『デートでも普段着でもどっちとも取れる絶妙なカジュアル』に仕上げたつもりだけど……。
(やっぱり、このスカートは短すぎたかな……? 先輩、さっきからわたしの服に何も触れてくれないけど、変に思われてないよね……っ!?)
緊張のあまり、両手の人差し指をツンツンと合わせながら、先輩の反応を伺うように視線を泳がせてしまう。
「ココア、どうした? さっきからずっとソワソワして、顔赤いけど体調悪い?」
『えっ!? い、いえいえいえ! 全然元気です! ちょっと、今日の太陽が眩しいなぁって思っただけで……っ!』
「そっか。じゃあ、まずはあそこのスポーツショップに行こう。そのあと、頑張ってくれたココアにご褒美で冷たいものでもおごるよ」
『ご、ご褒美……カフェ……!?』
先輩の何気ない優しい一言に、わたしの心臓はまたしても限界突破!
買い出しの備品よりも、自分の心臓が飛び出さないようにキープする方が大変なんじゃないかって思いつつ、先輩の隣に並ぶためにトコトコと駆け出す。
うわぁ…これからどうなっちゃうの?
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