「可愛い顔が台無し、でもないな。こんなでも可愛いの凄い」
使用したAI
その他
右手を持ち上げた。人差し指と中指を沙耶の右頬に当て、親指を左頬に回す。三本の指で顔を挟んで、きゅっと力を込めた。 沙耶の唇が、ぷちゅ、と前に押し出された。上唇と下唇が寄せられてアヒル口になり、頬の肉がむにっと指の間から盛り上がる。 「——んむっ」 焦点の合わない目がぱちぱちと瞬いた。鼻先がちょっと上を向いて、押し潰された頬に細かい皺が寄っている。唇の隙間から覗く歯が白い。 「はなひてくだはい」 舌が自由に動かない。さ行がだ行になって、ちゃんと怒っているつもりの声がまるで幼児のお遊戯みたいに響いた。目だけが必死に睨んでいるけれど、むにっと潰れた頬のせいで目尻が下がって、威厳がどこにもない。 「……」 指を離した。沙耶がほっと息をつく——その隙に、今度は両手を広げた。 左の掌が左頬に。右の掌が右頬に。ぐにゅう、と挟み込む。 頬の肉が真ん中に寄せられた。鼻の両脇に柔らかい壁ができて、唇がぶちゅっと突き出す。目が押し上げられた頬肉に圧迫されて細くなり、眉が八の字に歪んだ。顎のラインが消えて、頬と唇だけが前にせり出している。 ブルドッグだった。完全に。 まじまじと見つめた。にやにや笑いが止まらない。沙耶の顔面が掌の中でむにむにと形を変えて、ぶちゅっと突き出した唇がぷるぷる震えている。怒っているのか恥ずかしいのか、耳の先だけが真っ赤。 「こんなでも可愛いの凄いね」 半ば感心して、半ばにやにやしたまま言った。本心だった。頬を潰されて、唇が魚みたいになって、目が細くなって、それでも——可愛い。むしろこの状態が一番可愛いまである。 沙耶の目がかっと見開かれた。頬肉に埋もれた目が。 「——っっ」 両手がこちらの手首を掴んだ。爪が食い込む。引き剥がそうとしているけれど、力が足りない。ぐにゅう、と挟んだ掌の中で頬がむにむにと動いて、沙耶の口が何かを言おうとしてぱくぱくしている。金魚みたいに。 「はなっ——はなひてっ——」 「やだ」 「やだじゃないでふ!」
呪文
入力なし