仁義なきデコバトル~絶対隠すウーマンvs絶対出させるマン~
使用したAI
その他
六畳半の部屋はインスタントの味噌汁と、彼女が焚いた柚子のお香が喧嘩していた。窓の外で酔っ払いが演歌を熱唱している。エアコンのフィルターが限界を訴えるような低い唸りを上げていて、壁にはコンビニの袋がぶら下がっている。生活感の塊みたいな空間。
瀬尾つむぎはソファに横向きに座って、スマホでコスメのリール動画を眺めていた。身長155センチ、肩幅の狭い華奢な体。オーバーサイズのモスグリーンのスウェットが鎖骨まで隠して、ショートパンツから伸びた脚は膝を抱えるように折り畳まれている。丸い輪郭、小さな鼻、下唇がわずかに厚い。黒髪は鎖骨の少し上で切り揃えてあって——問題の前髪は、眉どころか瞼の半分まで覆う重たいぱっつん。額のひとかけらも許さない鉄壁。毛先がまつ毛に触れるたびに瞬きしている。
あー、このアイシャドウ可愛い。給料日まであと十二日。無理。てかソウタさっきからこっちチラチラ見てんの何?
台所で麦茶を注いでいた桐生奏太が、グラスを二つ持ってリビングに戻ってきた。181センチ、肩幅が広くて腰が細い逆三角形の体型。顎のラインがはっきりしていて、眉が太く、鼻筋が通っている。短く刈り上げた襟足から耳の上にかけてフェードが入っていて、トップだけ少し長い黒髪をくしゃっと横に流していた。白いTシャツの首元がよれている。左手首に革の細いブレスレット。
今日こそ見る。絶対見る。あのデコ、俺だけ二年付き合って一回も拝めてないの意味わかんねーし。
「つむ、麦茶」
「ん、ありがと」
つむぎが受け取ろうと片手を伸ばした瞬間、奏太はグラスをローテーブルに置いて、代わりにソファの横に膝をついた。顔が近い。鼻先が十センチもない距離。麦茶の冷たい匂いと、彼のボディソープの微かなシトラスが混ざる。
「……なに」
「いや、可愛いなって」
「キモ」
口ではそう言いながら、つむぎの頬がうっすら染まっている。奏太の右手がゆっくり顎に触れた。親指が下唇の端をなぞる。つむぎが目を半分閉じて、息を止めた——キスが来ると思った。
奏太の左手が閃いた。
指三本でつむぎの前髪をばさっと上に跳ね上げた。一瞬だけ、ほんの一秒——丸くて白い額が露出する。産毛が光に透けて、眉上に小さなニキビ跡がひとつ。広くも狭くもない、普通の、つるんとした額。
「——ッッ!!」
つむぎが両手で額を押さえた。スマホが太ももから滑り落ちてクッションに沈む。顔から首まで一気に茹でダコみたいな赤。
「見んなッ!!今の見んなバカ!!死ね!!」
「いや待って可愛かっ——」
「可愛くない!!触んな!!詐欺!!キス詐欺!!」
つむぎがソファのクッションを掴んで奏太の顔面に叩きつけた。ぼふっ、と間の抜けた音。奏太はクッション越しに笑っている。肩が震えている。
「もう一回」
「は?」
奏太がクッションを左手で払いのけて、今度は正面から来た。つむぎの両手首をまとめて右手で掴む。彼女の手首は細くて、片手で余裕だった。つむぎが身を捩るが、体重差が三十キロ近くある。話にならない。
「離せ変態デコハラ!!訴える!!」
「デコハラは法律にない」
「作る!!私が作る!!」
奏太の左手が前髪の根元に触れた。人差し指と中指で、生え際からゆっくり、めくるように——がばっ。
額が全開になった。
蛍光灯の白い光がつむぎの額を照らしている。髪の生え際の形は丸みがあって、こめかみに向かって自然にカーブしている。眉間に力が入っているせいで横皺が一本走っていた。薄い産毛が光に透けて桃みたいに見える。
奏太は、息を止めた。
「…………めちゃくちゃ可愛いじゃん」
つむぎの目に涙が滲んでいた。怒りなのか羞恥なのか本人にも分からない。唇がわなわな震えている。
「離せってば……ほんとに……」
声が小さくなっている。赤が耳たぶまで広がっていた。
「なんで隠すのこれ」
「……広いから」
「広くねーよ普通だよ」
「普通が一番嫌なの!!」
つむぎが脚をばたつかせて、奏太の脛を蹴った。ごん、と鈍い音。奏太が顔を歪めたが手は離さない。そのまま額に唇を押し当てた。柔らかくて、体温が高い。唇の端がつむぎの産毛を擦って、微かにくすぐったい。
「——ッ、んっ……」
つむぎの抵抗がぴたりと止まった。
奏太がゆっくり唇を離す。つむぎの額に微かな湿り気が残っている。彼女は手首を解放された後も、前髪を直さなかった。両手をスウェットの裾に突っ込んで、顔を横に背けて、唇を尖らせている。
「……一回だけだから」
「うん」
「二回目はない」
「うん」
「写真撮ったら殺す」
「撮らない撮らない」
嘘。もう撮りたい。ロック画面にしたい。
奏太はつむぎの隣に座り直して、ローテーブルの麦茶に手を伸ばした。つむぎが無言で彼の肩に額を押し付ける——前髪がまだ上がったまま、白い額が奏太のTシャツの布地に密着して、そこだけ小さく熱を持っていた。
瀬尾つむぎはソファに横向きに座って、スマホでコスメのリール動画を眺めていた。身長155センチ、肩幅の狭い華奢な体。オーバーサイズのモスグリーンのスウェットが鎖骨まで隠して、ショートパンツから伸びた脚は膝を抱えるように折り畳まれている。丸い輪郭、小さな鼻、下唇がわずかに厚い。黒髪は鎖骨の少し上で切り揃えてあって——問題の前髪は、眉どころか瞼の半分まで覆う重たいぱっつん。額のひとかけらも許さない鉄壁。毛先がまつ毛に触れるたびに瞬きしている。
あー、このアイシャドウ可愛い。給料日まであと十二日。無理。てかソウタさっきからこっちチラチラ見てんの何?
台所で麦茶を注いでいた桐生奏太が、グラスを二つ持ってリビングに戻ってきた。181センチ、肩幅が広くて腰が細い逆三角形の体型。顎のラインがはっきりしていて、眉が太く、鼻筋が通っている。短く刈り上げた襟足から耳の上にかけてフェードが入っていて、トップだけ少し長い黒髪をくしゃっと横に流していた。白いTシャツの首元がよれている。左手首に革の細いブレスレット。
今日こそ見る。絶対見る。あのデコ、俺だけ二年付き合って一回も拝めてないの意味わかんねーし。
「つむ、麦茶」
「ん、ありがと」
つむぎが受け取ろうと片手を伸ばした瞬間、奏太はグラスをローテーブルに置いて、代わりにソファの横に膝をついた。顔が近い。鼻先が十センチもない距離。麦茶の冷たい匂いと、彼のボディソープの微かなシトラスが混ざる。
「……なに」
「いや、可愛いなって」
「キモ」
口ではそう言いながら、つむぎの頬がうっすら染まっている。奏太の右手がゆっくり顎に触れた。親指が下唇の端をなぞる。つむぎが目を半分閉じて、息を止めた——キスが来ると思った。
奏太の左手が閃いた。
指三本でつむぎの前髪をばさっと上に跳ね上げた。一瞬だけ、ほんの一秒——丸くて白い額が露出する。産毛が光に透けて、眉上に小さなニキビ跡がひとつ。広くも狭くもない、普通の、つるんとした額。
「——ッッ!!」
つむぎが両手で額を押さえた。スマホが太ももから滑り落ちてクッションに沈む。顔から首まで一気に茹でダコみたいな赤。
「見んなッ!!今の見んなバカ!!死ね!!」
「いや待って可愛かっ——」
「可愛くない!!触んな!!詐欺!!キス詐欺!!」
つむぎがソファのクッションを掴んで奏太の顔面に叩きつけた。ぼふっ、と間の抜けた音。奏太はクッション越しに笑っている。肩が震えている。
「もう一回」
「は?」
奏太がクッションを左手で払いのけて、今度は正面から来た。つむぎの両手首をまとめて右手で掴む。彼女の手首は細くて、片手で余裕だった。つむぎが身を捩るが、体重差が三十キロ近くある。話にならない。
「離せ変態デコハラ!!訴える!!」
「デコハラは法律にない」
「作る!!私が作る!!」
奏太の左手が前髪の根元に触れた。人差し指と中指で、生え際からゆっくり、めくるように——がばっ。
額が全開になった。
蛍光灯の白い光がつむぎの額を照らしている。髪の生え際の形は丸みがあって、こめかみに向かって自然にカーブしている。眉間に力が入っているせいで横皺が一本走っていた。薄い産毛が光に透けて桃みたいに見える。
奏太は、息を止めた。
「…………めちゃくちゃ可愛いじゃん」
つむぎの目に涙が滲んでいた。怒りなのか羞恥なのか本人にも分からない。唇がわなわな震えている。
「離せってば……ほんとに……」
声が小さくなっている。赤が耳たぶまで広がっていた。
「なんで隠すのこれ」
「……広いから」
「広くねーよ普通だよ」
「普通が一番嫌なの!!」
つむぎが脚をばたつかせて、奏太の脛を蹴った。ごん、と鈍い音。奏太が顔を歪めたが手は離さない。そのまま額に唇を押し当てた。柔らかくて、体温が高い。唇の端がつむぎの産毛を擦って、微かにくすぐったい。
「——ッ、んっ……」
つむぎの抵抗がぴたりと止まった。
奏太がゆっくり唇を離す。つむぎの額に微かな湿り気が残っている。彼女は手首を解放された後も、前髪を直さなかった。両手をスウェットの裾に突っ込んで、顔を横に背けて、唇を尖らせている。
「……一回だけだから」
「うん」
「二回目はない」
「うん」
「写真撮ったら殺す」
「撮らない撮らない」
嘘。もう撮りたい。ロック画面にしたい。
奏太はつむぎの隣に座り直して、ローテーブルの麦茶に手を伸ばした。つむぎが無言で彼の肩に額を押し付ける——前髪がまだ上がったまま、白い額が奏太のTシャツの布地に密着して、そこだけ小さく熱を持っていた。
呪文
入力なし