美鳥に案内された小高い芝生広場は、
祭り会場の喧騒が少しだけ遠く、
夜風が心地よく吹き抜けていた。

「おぉ……やっぱりここは特等席でござるな」

美鳥が満足そうに頷いた、その瞬間。

――ドォンッ。

夜空へ大輪の花火が咲き誇る。

「わぁ……!」

シロキは思わず目を輝かせた。

赤、青、金色。次々と色を変えながら
夜空いっぱいに広がる花火が、
四人の瞳へ映り込む。

「シロ姉見て! ハートの花火!」
「本当ですね!
 最近の花火って、こんな形もあるんですね」

続いて、
柳のようにゆっくり垂れ下がる金色の花火。

「これ好きなんだよなぁ」

クロキが珍しく穏やかな声を漏らす。

「派手じゃねぇけど、なんか落ち着く」
「クロの字らしい好みですな」

美鳥が笑った直後、
今度は何発もの花火が連続して夜空を埋め尽くす。

ドン、ドドン、パラパラパラ――。

「すごーい!」

ハルマは歓声を上げながら、
夢中で夜空を見上げる。

「写真撮るのやめた!」
「珍しいですね」
「こんなの、目で見た方が絶対いいじゃん!」

その言葉にシロキは優しく微笑んだ。

「……はい。あたしもそう思います」

やがて最後を飾るように、
色とりどりの大玉が一斉に打ち上がる。

夜空いっぱいに広がる光が、
まるで昼間のように四人を照らした。

誰も言葉を発さない。

ただ肩を並べ、
それぞれの想いで夏の夜空を見上げる。

花火の音と、夜風の涼しさ。

そのどちらも、
この夏だけの特別な思い出として、
静かに胸へ刻まれていくのだった

呪文

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