古の魔法図書館の最深部・禁断区画。

ある日の夜──27歳の天才魔導師クロード・ヴァルディスは、長い研究の末にようやくその一冊に辿り着いた。

黒く古びた表紙の禁書──中には200年間、誰にも解けなかった強力な封印魔法が施されていた。

今夜、彼はついにその封印を解く儀式を完成させた。

巨大な五芒星の魔法陣が床に輝き、古代のルーン文字がピンク色の炎となって回転を始める。

「…………来たか」

クロードは眼鏡の奥で目を細め、静かに呟いた。

魔法陣の中心から、強烈な魔力の奔流が噴き上がる。

ピンクと紫の光が渦を巻き、長い黒髪にピンクのグラデーションがかかった美しい悪魔の少女が、ゆっくりと姿を現した。

彼女の名はリゼル・ノクターン——200年前に封じられた上位悪魔。

頭には優雅に曲がった二本の角、ピンクの瞳が妖しく輝き、黒と深紅のドレスが魔力の風に翻っている。

リゼルは魔法陣の上に片膝をついたまま、ゆっくりと顔を上げ、クロードを見てにっこりと微笑んだ。

「ふふ……200年ぶりの空気ね。なかなかいい香りがするわ、人間の魔導師さん」

彼女の声は甘く、しかし底知れぬ危険さを秘めていた。

クロードは腕を自然に下ろし、冷静に彼女を見つめ返す。

「……お前がリゼルか。禁書に封じられていた悪魔だな。
私はクロード・ヴァルディス。この封印を解いた者だ」

リゼルはくすくすと笑いながら優雅に立ち上がり、ドレスの裾を軽く払う。

「解き放ってくれたお礼に……何かご褒美をあげましょうか?
それとも──契約を交わす?」

彼女は悪戯っぽく指先を唇に当て、ピンクの瞳を細めてクロードを上目遣いに見つめる。

クロードはわずかに眉を寄せ、しかし動じずに答えた。

「契約は後だ。まずはお前が何者か、200年の間に何を考えていたかを聞く。
私は興味本位で封印を解いたわけじゃない」

リゼルは楽しげに笑い、魔法陣の光が徐々に収まっていく中、二人の間に新たな緊張と、予感に満ちた沈黙が落ちた。

呪文

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