激闘から、しばらく後。
火野神社の境内。
先ほどまで炎と歓声に包まれていた特設ステージも片付けが始まり、神社にはいつもの静けさが戻りつつあった。

ロ「……ようやく終わった」
リ「お疲れさまでした、大佐」
ロ「私はお宮参りに来ただけだったはずなんだが……」
リ「勝ったのですから、いいではありませんか」
ロ「そういう問題なのか?」
リザの腕の中では、ベビーウェア姿のマースがご機嫌。
マース「きゃっ♪」
ロ「……お前は楽しそうだな」
リ「父親がセーラープルートになって戦っていたのですから」
ロ「その説明を娘にするのはやめてくれ」
その時。
乱馬「お待たせ」
ロ「ん?」
振り返る。
そこにいたのは――
先ほどまでの赤髪のセーラーらんマーズではない。
お湯をかぶって男の姿へ戻り、黒髪のおさげを後ろに垂らした乱馬。
そして衣装もセーラー服ではなく――
火野神社の神主装束。

ロ「……!」
リ「あら」
レ「乱馬♡」
乱馬「さて」
乱馬は先ほどまでとは違う、穏やかな表情になる。
乱馬「大佐、リザさん」
ロ「?」
乱馬「改めて――」
軽く頭を下げる。
乱馬「マースちゃんのお宮参り、始めようか。」
ロ「……ああ」
リ「よろしくお願いします」
そこへ――
エ「俺も準備できたぞ」
ロ「鋼の?」
エドも赤いコートではない。
金髪をきちんとまとめ、火野神社の神主装束に着替えている。
乱馬「エド、頼むぞ」
エ「ああ」
ロ「お前まで随分この神社に馴染んだな……」
エ「大佐にだけは言われたくねぇよ」
ロ「なぜだ?」
エ「さっきセーラープルートだっただろ」
ロ「忘れろ!」
レ「無理よw」
う「動画もあるし♡」
ロ「消せぇぇぇ!!」
乱馬「はいはい」
パン、パン。
乱馬が手を叩く。
乱馬「ここからは神事だから静かにな」
一同「はーい」
ロ「……切り替えが早いな」
エ「これが火野神社だ」

マース、御神前へ
本殿。
中央には、マースを抱いたリザ。
その隣にロイ。
前方には宮司の乱馬。
その横にはエド。
そして――
レイ、うさぎ、亜美、まこと、美奈子、はるか、みちる、せつな、ほたる。
ちびうさ。
乱麗、未麗、麗馬。
未来。
みんなが静かに見守っている。
先ほどまで戦っていたレイも、今は穏やかな表情。

レ「かわいい……♡」
未来「マースちゃん、ずっとご機嫌ですね」
未麗「さっきの試合の時も泣かなかったもんね」
う「将来大物になるよ、この子」
ロ「不吉な予言をするな」
リ「私は少し楽しみですけど」
ロ「中尉……」
乱馬が御神前へ進む。
先ほどまで二本の短剣を握っていた手。
今は静かに神事を執り行う。
境内に祝詞が響く。
ロ「…………」
リ「…………」
マース「…………」
マースも不思議そうに乱馬を見つめている。
エドは神妙な面持ちで補佐する。
レイはそっと目を閉じる。
せつなも。
ほたるも。
誰も喋らない。
やがて――
祈祷が終わる。
乱馬「――以上をもちまして、マースちゃんのお宮参りの祈祷を納めます」
深く一礼。
ロイとリザも頭を下げる。
リ「ありがとうございました」
ロ「……ありがとう、乱馬」
乱馬「どういたしまして」
そして、乱馬がマースを見る。
乱馬「元気に育てよ、マース」
マース「きゃっ♡」
乱馬「ははっ」
レ「乱馬」
乱馬「ん?」
レ「いい顔してるわよ」
乱馬「宮司だからな」
レ「さっきまでセーラー戦士だったけどね♡」
乱馬「言うなw」
エ「大佐」
ロ「なんだ、鋼の」
エ「マース、大きくなったらまた連れてこいよ」
ロ「ああ」
エ「今度は普通にお宮参りだけで済むといいな」
ロ「本当にな」
乱馬「無理じゃね?」
ロ「なぜだ!」
う「火野神社だもんw」
美「次回来たら第4回大会だったりして♡」
ロ「もう二度と変身ペンは持ってこないぞ!」
リ「私が持ってきます」
ロ「中尉!!」
レイが笑う。
乱馬も笑う。
エドも。
そしてロイも、最後には苦笑する。
その腕の中で――
マースは何も知らず、幸せそうに笑っていた。
ロ「マース」
マース「?」
ロ「元気に育ってくれ」
リ「あなたなら大丈夫よ」
乱馬「またいつでも来いよ」
レ「火野神社はいつでも歓迎するわ♡」
ロ「……ただし」
一同「?」
ロ「次は組手大会のない日にしてくれ。」
乱馬「保証できねぇw」
ロ「おい!!」
――第3回火野神社組手大会。
そして、マースのお宮参り。
炎と笑い声に包まれた長い一日は――
ようやく、穏やかに幕を閉じた。

マースお宮参り――記念撮影

祈祷終了後。
火野神社・本殿前。
ら「よーし、せっかくだから全員で写真撮るぞー!」
う「賛成!」
美「マースちゃん、こっち向いて~♡」
リ「マース、写真ですよ」
マース「きゃっ♡」
エ「大佐、真ん中行けよ」
ロ「…………」
エ「大佐?」
ロ「…………」
レ「どうしました?」
ロ「…………おい」
一同「?」
ロイ、自分の服を見る。
黒と深緑を基調としたセーラー服。
長い白手袋。
そしてガーネット・ロッド。
ロ「……なぜだ」
リ「?」
ロ「なぜ私は――」
ガーネット・ロッドを掲げる。
ロ「まだセーラープルートなんだ!?」
一同「wwwww」
ロ「笑うな!」
そしてロイが、どこか虚空へ向かって叫ぶ。
ロ「おい! 主とやら!」
主「ん?」
ロ「なんで私がプルートのままなんだ!」
主「そっちの方が面白いかなぁってwww」
ロ「面白さで私の服装を決めるな!!」
ら「俺は同感w」
ロ「らんま!?」
リ「私もそう思います」
ロ「中尉まで!?」
リ「とてもよくお似合いですよ、大佐」
ロ「そういう問題ではない!」
エ「大佐」
ロ「今度は何だ、鋼の!」
エ「大佐、セーラー戦士好きだろ?」
ロ「…………」
エ「もう怖い顔やめなよw」
ロ「私はだな――」
レ「大佐♡」
ロ「?」
レイがニコッと笑う。
レ「よく考えてください」
ロ「何をだ?」
レ「大佐は今日――」
ロ「?」
レ「セーラー戦士になって、セーラー戦士と組手したんですからね♡」
ロ「…………」
レ「しかも私、セーラーマーズと♡」
ロ「…………」
ら「大佐?」
ロ「…………」
リ「大佐?」
ロ「…………!」
ズキューン!!!!
ロ「そ……」
エ「?」
ロ「そうだった!!」
一同「wwwww」
ロ「私は……!」
自分のセーラー服を見る。
ロ「本物のセーラー戦士に変身して……」
レイを見る。
ロ「本物のセーラーマーズと……」
レ「はい♡」
ロ「真正面から炎をぶつけ合って……」
レ「ええ♡」
ロ「そして――」
レ「?」
ロ「勝った……」
レ「そこ強調します?💢」
ロ「いや、違う!」
ロイの目に涙。
ロ「一生の思い出だ……(´;ω;`)ウゥゥ」
ら「大佐www」
エ「泣いたwww」
う「そんなに嬉しかったの!?」
美「大佐、かわいい♡」
ロ「だってセーラーマーズだぞ!?」
レ「そこまで喜ばれると悪い気はしないわね♡」
リ「大佐」
ロ「中尉……」
リ「よかったですね」
ロ「ああ……!」
リ「では、その姿のまま写真を撮りましょう」
ロ「もちろんだ!」
エ「さっきまで脱ぎたがってたの誰だよw」
ロ「気が変わった!」
ら「ほらほら、並べー!」
全員「はーい!」
中央には――
セーラープルート・ロイ。
その隣にマースを抱いたリザ。
そして、先ほどロイと激闘を繰り広げたレイ。
神主姿のエド。
セーラー戦士たち。
火野家のみんな。
らんまは男の姿、神主装束でカメラをセットする。
ら「大佐!」
ロ「なんだ?」
ら「もう泣くなw」
ロ「これは感動の涙だ!」
ら「はいはいw」
レ「大佐、笑って♡」
ロ「……ああ!」
リ「マースも笑っていますよ」
マース「きゃっ♡」
ロ「マース!」
ら「じゃあ撮るぞー!」
エ「大佐、ガーネット・ロッドちゃんと持てよw」
ロ「当然だ!」
ら「はい――」
一同「…………!」
ら「笑ってー!」
カシャッ!!
――写真には。
娘のお宮参りで幸せそうに微笑むロイとリザ。
二人に抱かれる小さなマース。
その周囲を囲むセーラー戦士と火野神社の仲間たち。
そして中央には――
満面の笑顔でガーネット・ロッドを持つ、セーラープルート・ロイ・マスタング。
ロ「……いい写真だ」
リ「ええ」
レ「素敵ね♡」
エ「大佐」
ロ「なんだ?」
エ「これも大総統に送るからなw」
ロ「…………」
ら「決定w」
ロ「…………まあいい」
エ「え!?」
ロ「今日だけは許す」
ら「どうした大佐w」
ロ「ブラッドレイ大総統にも見せてやろうじゃないか!」
胸を張る。
ロ「私がセーラー戦士として、セーラーマーズと激闘を繰り広げた勇姿をな!」
エ「完全に開き直ったwww」
リ「大佐らしいですね」
レ「また戦いましょう、大佐♡」
ロ「ああ!」
ら「じゃあ次回もプルートなw」
ロ「…………」

ロ「それは考えさせてくれ」

完結

呪文

入力なし

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