雨音だけが主役の夜/スマホ壁紙アーカイブ
雨の夜、私はひとりで横断歩道を渡っていた。
特別な用事があるわけではない。
ただ、家に帰る途中だった。
雨は強くも弱くもなく、一定のリズムで降っていた。
その音を聞いていると、頭の中が少しずつ静かになっていくのが分かった。
仕事のことや、うまくいかなかった会話のことも、
今はあまり重要ではない気がした。
街灯の下で、道路はオレンジ色に光っていた。
濡れた横断歩道がきれいで、
なぜか「悪くない夜だ」と思った。
透明な傘の中にいると、
世界と私のあいだに、ちょうどいい距離ができる。
近すぎず、遠すぎず、
考えすぎなくていい距離だ。
この夜に、何か特別な出来事が起きるわけではない。
それでも、こういう時間があるから、
私はまた明日をやり過ごせる。
雨音だけが主役の夜は、
そういう意味で、私にとって必要な夜だった。
呪文
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