前回
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「女の…子?」

全時代的なカプセルの中には少女。
まるでお伽話のお姫様のように静かに目を閉じていた。
美しいブロンドも合間って神秘的な…いや、ゼノにとっては違う。
彼自身、なぜだか分からないがこの少女に惹かれていた。

「PIーPIPI」

傍らのフィルターがゼノを突くように言う。

「…茶化すんじゃねぇよ…」

お伽話ではお姫様は王子のキスによって目覚めるものだが…さて。
ゼノがそっとカプセルに触れるーーその瞬間、カプセルが起動し警告音を発する。

「PIP!PIP!!」
「な、何もしてねぇよ!」

カプセルは低い唸りをあげ、重苦しい扉が開き、冷たい凍えるような空気を感じる。
その空気が室内の空気と混じり合うまで様子を見ていたが、そしてカプセルは作動を止める。

「…ん……」

ようやくで訪れた静寂を破ったのはゼノでもフィルターでも無かった。

「……ここ…は……」

少女がふらりと立ち上がり、くらりとよろける。
咄嗟にゼノは彼女の華奢な身体を支えた。
どのくらいの期間寝ていたのかは定かでは無いが、コールドスリープ明けだ、頭も、身体も、はっきりしないだろう。

「お、おい、大丈夫か?」

少女が小さく頷く。
吸い込まれそうな綺麗な瞳を見て、とりあえずは大丈夫そうだ、ゼノはホッとする。
ーー見たところこのカプセルは二時代前の代物、この頃のコールドスリープ技術は今よりも未熟で危険が伴うものでありすぐに規制が始まったと聞く。
仮にその時代からコールドスリープしていたのならば、問題なく目覚めたのは奇跡に近い。

「PIPI!PI!」
「フィルター、今度はなんーー」

カプセルにバチリとスパークが奔ったかと思うと、炸裂音と共に崩れる。
思わぬ負荷が掛かったのか?ーーそう思うと同時に部屋にあるコンソールから火が吹き出し始めた。
悪い予感しかしない…であれば。

「おい、アンタ!走れるか?」

少女は小さく首を横に振る。

「ーーだろうな!フィルター、さっさと逃げるぞ!」
「PIPIPIPP!!」

爆発、今はまだ小規模だがいずれ連鎖的に同時多発的に始まるだろう。
そうなれば、全員宇宙の藻屑だ。
ゼノは彼女を抱き抱え、出口に向かって駆け出した。

ーーこの日の出来事は小さな小さな出来事。
ニュースにもならない小さな出来事。
誰もが気にも留めない出来事。
そしていずれーーー。

呪文

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