怪談や都市伝説とは少し違う話なのですが、認知症の一種に「レビー小体型認知症」というものがあります。このタイプの認知症では、実際には存在しないものが見える「幻視」が特徴の一つだそうです。

例えば、トイレに置いてある赤い造花を女性の口紅と見間違え、「誰かに覗かれている」と訴えたり、誰もいない家の中に「知らない人が入ってきた」と言い出して、警察に電話してしまったりすることもあるそうです。

私の親族にも認知症を患った老人がいて、介護ヘルパーさんの助けを借りながら一人暮らしをしていました。

ある日、その人が「ヘルパーさんが小さな子供を連れてきている」と言い出しました。

それも、オムツをしていて、ようやく立てるくらいの幼児だというのです。

もちろん、ヘルパーさんが幼児を連れて仕事に来るはずもありません。

その話を聞いたとき、私は心底怖くなりました。

何が言いたいのかというと、世の中に残っている怪談や都市伝説の中には、もしかすると、こうした認知症の方が実際に体験した「存在しないものを見た」という訴えが、何らかの形で元になっているものもあるのではないか、と思うのです。

「見えた」という本人の体験だけは、本当にあった。

けれど、その場には誰もいなかった。

そう考えると、怪談というものが、少し違った怖さを持って見えてきます。

呪文

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