小説『トロイツカベース』【ニャンノ世界】
『トロイツカベース』
これを綴ったところで、
何の足しにもならないことを知っている。
だが、空想の畑を耕すことで
何かが見えてくることは明白である。
トロイツカの日記を書く
ジョアンナ・トロイツカは
トロイツカベースを拠点に
空想を書いている。
思想は検閲にあたる
なれど、空想は検閲の枠を超えて、物語として受容される。
だから、これは単なる空想における語り草であって、思想から湧き出てくる、根拠なき希望たるものはないわけだ。
晴天の空より溢れる光などなく、
一時の優越にまみれた俗物達とは異なることを述べてしまうのが、思想なわけで…
空想は、それらの位相から高位相的な展開を指し示す。
ラジオから聞こえる検閲が終了し、流れる赤色音楽と、チョコミンテルンによる…演説
チョコミン党のトップの演説はジョアンナにとっては、ナショナリズム、小さな枠組みによるものでしかなく、寄る辺を失った女神にすがっているようにしか聞こえなかったのだ。
朝日射す晴天の折、
それは、刹那的に奪われるものとして存在していた。
ノイズ…其が…
自己意識の中に存在しえるならば、お願いだから、一つの世界として表してくれないだろうかと…
数を競いし、競合論者は…
量産主義による虚無に進んでいる…
其は、すでに工場でしかない…
其に世界はあるのかと…
類似した事象にため息をつく…
見ているのだから…
少しでも…
と、トロイツカの日記に記すは
同様のものを何枚も何遍も繰り返し、繰り返し、生産する存在に対するため息であった。
「戦いは数だが、数以上に大切なものがありゃしないか」
こうして空想から思想に至りかねそうな苦悩を紙に書き綴る…
述べし…虚構のディストピア…
定期的な笑顔にグッバイなら
其が自明の心理というものがあるであろうから…
トロイツカベースは赤く染まる…
朱に存在しえし、事象に対し
反抗的な思考を巡らせながら、
同様の音楽に心を壊しながら…
その荒廃した社会にて、
救いを求めるために、
血肉すらも犠牲にした先に
行き着いたのが
民衆であり國家であるのだろうから…
今日の空も赤色の旗が靡く…
明日の空はどんな色だろうか…
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