第4章 王都祭りと恋占い 其の2
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その時、近くの屋台の老人が声をかけてきた。
「そこの二人、仲がいいねえ。春告げ祭の記念に、恋占いはどうだい?」
セレスティアとレオンは同時に固まった。
「恋占い?」
「いや、俺たちは」
「相棒!」
二人の声が微妙に重なる。
老人は楽しそうに笑った。
「相棒ねえ。じゃあ相棒占いでもいいよ」
レオンは腕を組んだ。
「相棒占いなら、まあ」
セレスティアは少し迷ったあと、興味に負けた。
「やってみたい」
「え、やるのか?」
「相棒占いだよ?」
「いや、どう見ても看板に恋占いって書いてるけど」
「相棒も大事でしょ」
「それはそうだけど」
老人は小さな水晶盤を取り出した。
丸い透明な盤の中に、淡い光が揺れている。
「二人で手をかざしてごらん」
「手?」
レオンが少し警戒する。
老人は笑う。
「触れなくていい。水晶の上にかざすだけだよ」
それなら、と二人は水晶盤の上に手をかざした。
セレスティアの手袋をした右手。
レオンの革手袋の左手。
ほんの少しだけ近い。
触れてはいない。
でも、近い。
セレスティアは妙に意識してしまい、指先を少し引っ込めた。
レオンも同じタイミングで手を動かす。
二人の視線がぶつかる。
「……なんだよ」
「なんでもない」
「本当に?」
「レオンこそ」
「俺もなんでもない」
老人はにやにやしながら水晶盤を覗き込む。
水晶の中に、小さな光が二つ浮かんだ。
ひとつは青。
ひとつは淡い金色。
二つの光はぐるりと回り、やがて並んで同じ方向へ流れていく。
老人は目を細めた。
「ほう」
「なに?」
セレスティアが身を乗り出す。
「珍しいね。これは“同じ道を歩く相”だ」
レオンが眉を上げる。
「同じ道?」
「片方が前に出て、片方が支える。でも支える方も、ただ後ろにいるだけじゃない。二人でいる時に、一番強くなる」
セレスティアは思わずレオンを見る。
レオンも少しだけ驚いた顔をしていた。
昨日の祭壇の間。
レオンの剣に、セレスティアの光が重なった瞬間。
黒い狼の影は、確かに消えた。
老人は続ける。
「それから……」
「それから?」
「この二つの光は、離れてもまた近づく。喧嘩しても、迷っても、結局同じ場所へ戻ってくる」
レオンは照れ隠しのように笑った。
「それ、占いじゃなくて、俺たちの昨日の報告でも聞いたんじゃないか?」
「ふふ、年寄りはなんでも知ってるんだよ」
セレスティアは水晶の光を見つめたまま、小さく言った。
「同じ道か……」
レオンが横から覗き込む。
「嫌か?」
「え?」
「俺と同じ道」
不意にまっすぐ聞かれて、セレスティアは言葉に詰まった。
嫌なわけがない。
レオンといると、騒がしい。
すぐご飯の話をするし、調子に乗るし、大したことないってすぐ言う。
でも、森でも遺跡でも、レオンは必ず前に出てくれた。
セレスティアが迷うと笑ってくれて、怖い時はいつも先に進んでくれた。
だから、嫌なわけがない。
「……嫌じゃないよ」
セレスティアは小さく答えた。
レオンは少しだけ安心したように笑う。
「そっか」
「うん。レオンは?」
「俺?」
「私と同じ道」
レオンは一瞬だけ黙った。
それから、いつものように笑う。
「退屈はしなさそうだな」
「なにそれ」
「褒めてる」
「ほんと?」
「ほんと」
老人は水晶盤をしまいながら、楽しそうに言った。
「いい相棒だねえ」
二人は同時に赤くなる。
「相棒だから!」
「そう、相棒!」
その声まで揃ってしまい、ますます気まずくなった。
夕方。
二人は中央広場の噴水の近くに座っていた。
屋台で買った果実水を飲みながら、祭りの人波を眺める。
空は少しずつ橙色に染まり、王城の尖塔が夕陽を受けて輝いていた。
セレスティアは足をぶらぶらさせながら言う。
「今日は楽しかったね」
「まだ終わってないぞ。夜に灯火式があるんだろ」
「そうだった!」
「忘れてたのかよ」
「屋台が多すぎた」
「わかる」
レオンは果実水を飲み、ふと空を見上げた。
「昨日の遺跡さ」
「うん」
「壁画に描かれてた二人、本当に俺たちに似てたよな」
セレスティアの表情が少しだけ真剣になる。
「うん」
「ミラは、聖女の杖と封印剣って言ってた」
「私たちの武器が、それかもしれないって」
「正直、まだ実感ないんだよな」
レオンは腰の剣に手を置いた。
「父さんの形見の剣だと思ってた。強い剣士になるために持ってた。でも、もしこの剣が本当に何か特別なら……俺、ちゃんと扱えるのかなって」
セレスティアは少し驚いた。
レオンがこんなふうに不安を言葉にするのは珍しい。
いつもは軽く笑って、「なんとかなる」と言う側だった。
セレスティアは自分の杖を見下ろした。
「私も怖いよ」
「セレスも?」
「うん。昨日、杖が光って、レオンの剣に魔法が流れた時……すごいって思った。でも同時に、もし私が失敗したらどうしようって思った」
レオンは静かに聞いている。
「回復魔法は得意だけど、古代の力とか、聖女とか、封印とか……急に言われてもよくわからないし」
「だよな」
「でも」
セレスティアは顔を上げる。
「一人じゃないなら、大丈夫かもって思った」
レオンが彼女を見る。
「レオンが前にいてくれて、私が後ろで支えて、それでうまくいったから」
「……同じ道、か」
「うん」
少しの間、二人は黙った。
周りの祭りの音が遠く感じる。
レオンは照れたように頬をかきながら言った。
「じゃあ、今度からも頼む」
「何を?」
「俺が前に出る。セレスが支える。で、俺が調子に乗ったら止める」
セレスティアは笑った。
「それは最初からやってる」
「じゃあ、これからも」
「うん。これからも」
「そこの二人、仲がいいねえ。春告げ祭の記念に、恋占いはどうだい?」
セレスティアとレオンは同時に固まった。
「恋占い?」
「いや、俺たちは」
「相棒!」
二人の声が微妙に重なる。
老人は楽しそうに笑った。
「相棒ねえ。じゃあ相棒占いでもいいよ」
レオンは腕を組んだ。
「相棒占いなら、まあ」
セレスティアは少し迷ったあと、興味に負けた。
「やってみたい」
「え、やるのか?」
「相棒占いだよ?」
「いや、どう見ても看板に恋占いって書いてるけど」
「相棒も大事でしょ」
「それはそうだけど」
老人は小さな水晶盤を取り出した。
丸い透明な盤の中に、淡い光が揺れている。
「二人で手をかざしてごらん」
「手?」
レオンが少し警戒する。
老人は笑う。
「触れなくていい。水晶の上にかざすだけだよ」
それなら、と二人は水晶盤の上に手をかざした。
セレスティアの手袋をした右手。
レオンの革手袋の左手。
ほんの少しだけ近い。
触れてはいない。
でも、近い。
セレスティアは妙に意識してしまい、指先を少し引っ込めた。
レオンも同じタイミングで手を動かす。
二人の視線がぶつかる。
「……なんだよ」
「なんでもない」
「本当に?」
「レオンこそ」
「俺もなんでもない」
老人はにやにやしながら水晶盤を覗き込む。
水晶の中に、小さな光が二つ浮かんだ。
ひとつは青。
ひとつは淡い金色。
二つの光はぐるりと回り、やがて並んで同じ方向へ流れていく。
老人は目を細めた。
「ほう」
「なに?」
セレスティアが身を乗り出す。
「珍しいね。これは“同じ道を歩く相”だ」
レオンが眉を上げる。
「同じ道?」
「片方が前に出て、片方が支える。でも支える方も、ただ後ろにいるだけじゃない。二人でいる時に、一番強くなる」
セレスティアは思わずレオンを見る。
レオンも少しだけ驚いた顔をしていた。
昨日の祭壇の間。
レオンの剣に、セレスティアの光が重なった瞬間。
黒い狼の影は、確かに消えた。
老人は続ける。
「それから……」
「それから?」
「この二つの光は、離れてもまた近づく。喧嘩しても、迷っても、結局同じ場所へ戻ってくる」
レオンは照れ隠しのように笑った。
「それ、占いじゃなくて、俺たちの昨日の報告でも聞いたんじゃないか?」
「ふふ、年寄りはなんでも知ってるんだよ」
セレスティアは水晶の光を見つめたまま、小さく言った。
「同じ道か……」
レオンが横から覗き込む。
「嫌か?」
「え?」
「俺と同じ道」
不意にまっすぐ聞かれて、セレスティアは言葉に詰まった。
嫌なわけがない。
レオンといると、騒がしい。
すぐご飯の話をするし、調子に乗るし、大したことないってすぐ言う。
でも、森でも遺跡でも、レオンは必ず前に出てくれた。
セレスティアが迷うと笑ってくれて、怖い時はいつも先に進んでくれた。
だから、嫌なわけがない。
「……嫌じゃないよ」
セレスティアは小さく答えた。
レオンは少しだけ安心したように笑う。
「そっか」
「うん。レオンは?」
「俺?」
「私と同じ道」
レオンは一瞬だけ黙った。
それから、いつものように笑う。
「退屈はしなさそうだな」
「なにそれ」
「褒めてる」
「ほんと?」
「ほんと」
老人は水晶盤をしまいながら、楽しそうに言った。
「いい相棒だねえ」
二人は同時に赤くなる。
「相棒だから!」
「そう、相棒!」
その声まで揃ってしまい、ますます気まずくなった。
夕方。
二人は中央広場の噴水の近くに座っていた。
屋台で買った果実水を飲みながら、祭りの人波を眺める。
空は少しずつ橙色に染まり、王城の尖塔が夕陽を受けて輝いていた。
セレスティアは足をぶらぶらさせながら言う。
「今日は楽しかったね」
「まだ終わってないぞ。夜に灯火式があるんだろ」
「そうだった!」
「忘れてたのかよ」
「屋台が多すぎた」
「わかる」
レオンは果実水を飲み、ふと空を見上げた。
「昨日の遺跡さ」
「うん」
「壁画に描かれてた二人、本当に俺たちに似てたよな」
セレスティアの表情が少しだけ真剣になる。
「うん」
「ミラは、聖女の杖と封印剣って言ってた」
「私たちの武器が、それかもしれないって」
「正直、まだ実感ないんだよな」
レオンは腰の剣に手を置いた。
「父さんの形見の剣だと思ってた。強い剣士になるために持ってた。でも、もしこの剣が本当に何か特別なら……俺、ちゃんと扱えるのかなって」
セレスティアは少し驚いた。
レオンがこんなふうに不安を言葉にするのは珍しい。
いつもは軽く笑って、「なんとかなる」と言う側だった。
セレスティアは自分の杖を見下ろした。
「私も怖いよ」
「セレスも?」
「うん。昨日、杖が光って、レオンの剣に魔法が流れた時……すごいって思った。でも同時に、もし私が失敗したらどうしようって思った」
レオンは静かに聞いている。
「回復魔法は得意だけど、古代の力とか、聖女とか、封印とか……急に言われてもよくわからないし」
「だよな」
「でも」
セレスティアは顔を上げる。
「一人じゃないなら、大丈夫かもって思った」
レオンが彼女を見る。
「レオンが前にいてくれて、私が後ろで支えて、それでうまくいったから」
「……同じ道、か」
「うん」
少しの間、二人は黙った。
周りの祭りの音が遠く感じる。
レオンは照れたように頬をかきながら言った。
「じゃあ、今度からも頼む」
「何を?」
「俺が前に出る。セレスが支える。で、俺が調子に乗ったら止める」
セレスティアは笑った。
「それは最初からやってる」
「じゃあ、これからも」
「うん。これからも」
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