小説『凪瀬ウミは家に帰る』【ニャンノ世界】

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【絵物語】1ページ
『凪瀬ウミは家に帰る』

逢魔が刻には、必ず怪異が潜んでいる…
世の中…必ずしも…善のみではできていない…ニャンノ世界の登下校は命がけだ…
しかしながら、統制学園及び、統制学園都市は、他の地域と比べ、ゾンビに襲われる心配はなかった。
他にも怪異や武装団体による襲撃に合うこともない…つまり、統制学園は、ある種、管理された日常を得ることができた。

だが、凪瀬ウミは思うのだ…

この平穏は常に一定ではない…
某かの、厄災が訪れるかもしれないと…
ニャンノ世界にいるからこそ…
観測する凪瀬の感情…

「揺れ動く風…私は青…」

ウミは詩的な表現で気持ちを口にだす…
夕焼けに染まる日常が、
気づかぬうちに…
侵食されていたらと
ウミは想像する…
そして、畏怖する
人智の及ばぬ力があるのではないか
言葉では形容しがたい脅威が潜んでるのではないかと…
想像力を巡らせる…
そうした危機意識が、ウミの性格ゆえなのかもしれない。

【絵物語】2ページ
『凪瀬ウミは家に帰る その2』

逢魔が刻には必ず何かが起こる…
だからこそ、特殊能力が必要なのだと
少し厨ニ病じみた考えがよぎる…

ウミは何故、自身が空想に耽るようになったのか…バスが来るまで考えることにした。

なぜか…他の2人が、奔放だからである。
そもそも、なぜ、ニャンノ世界は危険な世界であるのに…あっけらかんとしているのか…不思議だった。

ソラはヤンチャで、とにかく考えるよりも先に行動しているし、
テラはおませさんなところがあり、
オトナブルーなところがある。

長女と三女に親たちはかかりっきりだからこそ、次女である彼女は…
我慢しなくてはならなかった。
つまり、我を抑えて…相手を優先する
だから、ワガママなんてものは
言ったことはない…
というのは嘘である。
ワガママはいった…
あの時は感情の爆発で、家出をしていた
時であったと、ウミは振り返る
そんな時に、同じく
隣家の幼馴染み、筒井メガシラも
両親と喧嘩し家出した。

「懐かしいな…ウミ…」

「負の経験は…創作の糧になりますよね」

思えば、書く力は、力の源は負の経験あるいはトラウマから来るのかもしれない…
内省し、思うことで、気持ちの整理が…

と考えると

「筒井…私が、なぜ、寡黙だったのか…」

「なぜ、寡黙だったんだ」

「ワガママ代わりの反抗なのかもなって」

いえないからこそ、口に出せないからこそ、代わりに空想の中で思考する…

口で言うよりも鉛筆で物語を紡ぐ癖は
其処が原点なのかもと、
ウミは推測する…
しかし、明確な答えはなく、
第一決定付けてしまえば、
狭くなってしまうからだろう

間口の広さと狭さは断定的か推測によっても変化するなど、思考論議が加速していく

寡黙なようでいて、ウミは色々と考えている…

例えば、バスの時刻表を見て…予定表を考えたりと…等々

【絵物語】3ページ
『凪瀬ウミは家に帰る その3』

逢魔が刻には必ず怪異が起こると信じる
凪瀬ウミはホラー漫画を読む

「ウズマキ、フウセンは面白いね」

同じく、文芸部員で家が隣で幼馴染みの筒井メガシラが頷く…

「ループする系も怖いよね」

「バックルーム？」

「ううん、確かにバックルームも、一度入ったら抜け出せない怖さがあるよね」

「わかる…エンティティとか好き」

2人はバスが来るまで、都市伝説や怪異に花を咲かせる。

「【実はニャップル】も都市伝説的存在になっていて、表紙に書かれたルビは、実話になっちゃうんだってさ」

「知ってるよ、ワタシはまぁ、ないとは思うけど…まぁ、」

メガシラは思った、都市伝説好きだからこそ、都市伝説と遭遇してみたいという気持ちが言葉に現れてるのだと…

このウズウズする感じにウンウンと頷く彼を見て、

「だけど、見出しが…そのヘンタイなモノだったら…恥ずかしいな…」

と少し、頬を染めるウミを見て、心臓の鼓動する速度が早まるメガシラ…
加えて、昔の記憶が甦り…ますます、頬を染める

「まぁ、なんだ…もし、ヘンタイなルビがやって来たとしても、オレが守ってやるんだい！」

「あっうん、うん…」

素っ気ない対応しかし、恥ずかしさの反対は彼の答えに、少し、安心感というか…
その反応に嬉しさながらの恥ずかしさというか…言葉にするのが難しき…思いを
どうすればいいか、天界の猫天使は唸るほどだ。

「猫が鳴いた声が…気のせいか」

メガシラは空を見上げ、まさか猫天使が唸るほどに尊い光景だということを、2人は気づいてしまえ、そして結ばれるのだ！と猫天使は念を送るのでした。


【絵物語】4ページ
『凪瀬ウミは家に帰る その4』

帰りのバスに乗り、本を読む2人
凪瀬ウミは引き続き、ホラー漫画を
筒井メガシラは不条理小説を読んでいた。

不条理小説『群衆の壁』
ある日、家の外を出たとき、人類が手をとりあって、密接に壁のように連なってるのを見た。
Kはその姿に気持ち悪さを感じ、吐き気を催す…なぜなら、彼は人というものに嫌悪はしていなかったが、群衆というものに嫌悪していたからである。群衆らに属すと個人の意思は失くなり…群衆の空気に苛まされる…孤独からは解放されるかもしれない…しかし、代わりに共同体からはずされる恐怖を味合わないといけなくなる。
絶対に反応しなくてはならない…絶対に嫌悪してはならない…など、見えない書物、十戒に操られてる彼らを見ると、糸で操られてる人形にしか見えないのだ…だからこそ、Kは家に戻り地下に潜って筆を持つのであった。創造は群れからくるのではない…闇からくるものだと…

と、不条理小説を読んでいるメガシラに視線を向けるウミ…

非言語体系での付き合いは、彼らにはハードルが高かった…だから、今は言語体系、文学を通した恋愛構築中なウミとメガシラ
だけど、素直になれない両者は不器用ながらも生きている…

人生はバス…ゴールなんてない…永遠の旅行者であり、旅人だから…

生きてる限り、歴史を紡ごうと思うのであった。